小説

□伝想日記
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テイルズオブジアビス ジェイド→←ルーク





 伝える気はないんだ。


 気まずくなるとか嫌だったし、

これ以上迷惑かけたくなかったし、

もう直ぐ…ここから消えるし…



 でも、やっぱり言っておく。





 俺はジェイドが好きだ…





 確かに、ドSで鬼畜だし陰険眼鏡なヤツだけど…

 何だかんだで仲間想いだし、優しいし

 今までに会った人…つっても軟禁されてたからそんな多くは無いけど、

その中にはいないタイプだった。


 だからかな。


 気がついたら目で追ってた。


 イライラする事も多くなった。


 ちょっと褒められただけで、
 すっげぇ嬉しかった。


 ジェイドがいてくれて、

色んな"想い"を知れた。


 ありがとう――――







 読んでいた本から目を離し、一息ついた。
眼鏡のブリッジを押し上げ、ふと窓の外を見ると、空は橙色に染まっていた。

「…もうこんな時間ですか…」

 灯りを点けようと立ち上がったが、視界の端に捉えた鏡の方を向いた。
鏡に写る姿――正確には自分の顔を見て、目を見開く。
そのまま頬に触れ、呟く。

「………これは…」

 非情だの冷酷だと言われる自分の頬に、一筋の涙と思われる跡があった。

 年は取りたくないものだ。

「私もちゃんと一人の人間、ということですかね…」

 愛する者を失った悲しみは、今となってもまだ、こうして形になって表れる。

 眼鏡を外し、涙を拭う。
再び眼鏡を掛けると、誰かが扉を叩く。

「旦那、いいか?」
「……えぇ、どうぞ」

 遠慮がちに開かれた扉からは、ガイが現れた。

「もう夕刻だ。そろそろ出発しないか?」
「そうですねぇ。 分かりました、少し待って下さい」

 そう言い、机の上に置いてある先程読んでいた本を閉じ、手に取った。

「おい…それは…!」

 私の手にある本を見て尋ねる。
何故お前が持っているんだ、とでも言い出しそうな口調だ。

「…ルークの日記帳ですよ。 彼に頼まれたんです。 “持っててくれ”とね」

 手元の本を見つめ、優しく微笑む。
しかしその目には哀愁も漂っている。

 そのままそれを懐に入れるとガイの方を向き、いつものように微笑む。

「さて、行きましょうか……」



 彼が初めて外を見た、あの場所へ――



end.

ED直前くらい? ティアからガイに変えました。今思えば何故ティアを出したのか…。
次のページに日記の続きがチラッと(笑
本当に少ないですけど。

追記[20120207]

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