小説

□YES or NO
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戦国BASARA 幸村×佐助 現代パロディ(高校生)





 4限が終わり、弁当を広げようとした時、ふと今朝の事を思い出した。
何時になく真剣な眼差しの彼が言った事…。


『―昼休み、屋上に来て欲しい――』


 一体、何事なんだろうか。
家で言わず、わざわざ学校――しかも屋上まで来させるという事は、よっぽどの内容なのかもしれない。
そう考えると、緊張のあまり弁当に手をつけることが出来なかった。

 広げようとした弁当を鞄にしまいそのまま席を立つと、重い足取りで教室から出て行った。
向かった先は、彼が待つ屋上。





 長い階段を登りきり、目の前の扉の前で息をのむ。
行動が早い彼の事だ、この扉の向こうには、十中八九…いや、間違いなく彼がいる。

 何を言われるのだろうか。
昨日、何か気に障ることでもしたのだろうか。
それとも……俺はもう、必要ないとでも言われるのだろうか。
しかし、だからといって足を止めるわけにもいかない。

 意を決し、目の前に立ち塞がる扉を引いた。





 目の前に広がる大空。
決して広いとは言い難いその屋上に、彼の姿はなかった。

「あれ……旦那…?」

 思わずそう呟くと、頭上から

「遅かったではないか、佐助」

 と、自分を待ち続けていたらしい彼の声がした。

 上を見ると同時に、彼は自分が開けた扉の建物の上から、俺の目の前に飛び降りた。
そしてそのままクルッとこちらを向き

「てっきり来ないかと思ったぞ」

 と少し拗ねたような顔をした。


「ごめんね、旦那。 で……何の用?」
「うむ。では早速本題に入るとするか」

 そう言い、彼は今朝と同様…真剣な表情になる。

「俺がお前を呼び出したのはな、佐助…お前に家政夫じみた真似を辞めてもらう為だ」
「え、それって…」

 俺ハモウ…イラナイ…?

「俺……俺は…」

 上手く言葉が発せない。
頭が真っ白になり、何を言えばいいのか分からない。

 彼は俺の両肩をがっしり掴むと、真っ青になっているであろう自分の顔とは裏腹に、少し頬を染め

「佐助、お前には俺の……恋人になってほしいのだ」

 と言い切った。


「……………」

 何も言えない。
口を開け目を大きく開けた今の自分は、どんなに間抜けな姿だろうか。

 そんな俺にはお構いなしに、彼は掴んでいた肩から手を離すと、近付き優しく抱き締めた。

「ふぇ……ぇえ?!」

 驚きの連続で、やっとのことで出せた言葉も、何とも情けない反応程度が精一杯で。
彼は、右耳へ顔を近付け

「ずっと……お前を好いておった…。 お前が良ければだが、これからは…恋人として、俺の傍にずっと居て欲しい…」

 そう言うなり、体を離し俺の顔を見る。

 例えるならば…ボッ!と音が出るくらい、勢い良く顔が赤くなったのが自分でも分かった。
それを見てか、彼は微笑むと一言残して屋上から去って行った。





 結局、5限目はサボる形となってしまった。

 入り口からは逆にある壁へもたれ掛かって座り、彼が言い残した言葉を思い出す。


『今すぐとは言わない……が、返事は欲しい。 出来ればお前の口から直接聞きたい』


「……分かってるくせに」

 両足を抱え込み、赤くなっているのを隠すように顔を埋める。



 彼に、何と返事をするか。

 答えは勿論―――。



End.

強気な幸村もいいと思うんです!! そんな彼に振り回される佐助……生暖かく見守りたい<●><●>←

追記[20120207]


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