小説

□貴方のような
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戦国BASARA 幸村+佐助 佐助過去捏造





 とある昼下がり。
佐助は軒に座り、幸村が信玄に稽古をつけてもらっているのを眺める。
それが最近の習慣。

 相変わらず熱いな…と思うも、見ていて微笑ましくも思う。
ただ、そろそろ力の加減ってのを知ってほしいね。
修繕費も馬鹿になんないんだからさ。

 そんな、なまじ平和ぼけしているような空間にいると、あの頃が嘘みたいに感じる。

「どうした、佐助?」
「っ! 旦那…」

 ぼんやりと昔にふけっていると、目の前には自分の名前を呼ぶ、今の主の顔。

 ――昔、殺すはずだった人。

 そのまま幸村は、佐助の隣に座った。
信玄との稽古は、どうやら終わったらしい。

「今日は何時になく、ぼーっとしておるな」
「うん…ちょっとね」
「…某には話せぬ事か?」
「んー、むしろ旦那にしか話せないかな」

 そう言い、少し間を空けてから、単刀直入に言った。

「旦那はさ、どうして…こんな俺様を雇ってんの?」

 旦那に雇われる前、俺様は旦那を殺そうとしていたのに…。

 忍だけど、感情を棄て切れてないのに…。

 なんで俺様にまで、そんなに優しいの?


 聞きたいことは、それこそ山ほどあった。
けれど、声に出せたのはその一言だけであって…何故か怖くてその先は聞けなかった。

 佐助の問に幸村は驚いていたが、すぐさま

「佐助は信用できると思ったからだ」

 と、此方を向いて答えた。


「だけど覚えてるでしょ!? 俺様は旦那を殺そうとしたんだよ!! 何でそんな奴が信用出来るの! もしかすると、俺様は旦那を裏切るかもしれない――」
「それはない!!」

 佐助の言葉を遮るように、幸村は叫んだ。

「…どうして、そう断言出来るの…」
「佐助の心が、綺麗だからだ」
「そんなわけない!! 俺様は、多くの人を殺してきた! 俺様の心は、影のように黒く汚れてるんだよ!!」

 佐助は幸村に、自分の想いをぶつけた。
その瞳に、うっすらと涙を浮かべて。


「…確かに、佐助は忍である故に、その手を血で赤く、黒く染めてきた。 しかし某は、それが心の汚れだとは思わぬ。 お前が戦嫌いなのも、某がこうして今生きておるのも、全ては佐助……お前の心が純粋で綺麗だからだ」

 そこまで言うと、幸村は佐助頬に手を添えた。

「某が佐助を雇っておるのは、そんな佐助に、惚れたからだ!」

 目の下を親指でそっと撫でてから、少しだけ頬を赤らめ、はにかむように微笑んだ。

 その笑顔を見て、あぁこの人には適わないなと佐助は蒼空を仰いだ。





 貴方の言葉で、どれほど救われただろうか…。

 大将のように、人を包み込む器が大きい。

 だからこそ、皆は貴方について行くのだろう。


 俺も…貴方のような存在に、なれるでしょうか…?

 例え貴方の影だとしても、光を望んでもいいでしょうか?



End.

かすがのような過去だと私は禿散らかします←ww

追記[20120207]


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