小説

□日常茶飯事
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銀魂 銀時×土方+新八 新八語り





「……このっ、糞天パがァ!!」
「あぁ? おまっ、全国の天然パーマに謝れェ!!」



 このやり取りはもう、かれこれ30分以上も続いている。夏本番に向け日差しが強くなり、日に日に暑さも増している気がする。手を上に掲げ顔に影を作るも、手の甲がジリジリと日に照らされまさに日焼け進行中なのが分かる。待たされている側としては、こんな日向にいるより少しでも涼しい家の中に帰りたい。何より、手に提げている白いビニール袋の中には、夏には必需品のアイスが入ってる。帰ってすぐ食べようとわざわざ暑い中でも買いに出たのに、再び固まるまで冷凍庫行きでは元も子もない。なにより、日光を物ともしない2人の大人の幼稚な言い合いを見ていると、暑苦しさは倍増だ。



「天パなんかに謝るか!つか、天パにどうやって謝れっつんだ!」
「そりゃあ、土下座に決まってんだろ」
「生憎、天パにするような土下座なんぞ、俺は持ち合わせてねェな」
「そりゃ天パを馬鹿にしてんのか?ちょっとサラサラストレートだからって天パを見下しやがってよ!つか、あんまり天パを連呼すんじゃねぇよ!?こう見えて銀さんの心は超ナイーブなんだからね?ガラスで出来てて割れ物注意なんだからね?」
「天パ連呼してんのテメェだろうが!!あとテメェみてぇな奴の心がガラスで出来てたらな!世の中の奴等の心は、卵の殻で出来てるわ!」
「た、卵の殻だとォォ!!?」

 二人とも額に青筋がはっきりと浮かんでいる。土方さんなんて、今にも抜刀してしまいそうだ。僕は見かねて横から

「……ちょっと銀さん、そろそろ帰り――」
「うるせェ新八ィ!!ここで逃げたら男じゃねんだよ!!」

 帰りを促すも最後まで言えず。
 つか、もう男云々の問題じゃないからね?天パの話なんてホントどうでもいいから!道の真ん中で幼稚な口喧嘩して、お前らは小学生以下か!!
 そう心の中でツッコミをして、見た目だけの大人達をみる。

 戦況は変わらず、変わったのは話の中身……今はそれぞれの可笑しい味覚のけなしあいをしている。

それにしても、あくまで僕視点だけど…2人の顔を見てるとなんだか

「楽しそう…」




 夏だろうが冬だろうが、顔を合わせれば必ず喧嘩………いや、この場合は言い合いかな。一年中飽きもせず続けられるこれはもう彼らの日常茶飯事。
果たしていつまで続くのやら…付き合ってられない。
「銀さん、先に帰りますからね!」
聞こえていないであろう幼稚な大人達にため息をついた後、道未だ続く言い合いを後ろに、袋を顔の前まで上げる。

 さて、この溶けきったものを待ち焦がれて留守番中の彼女に、何て言い訳をしようか。




End.
[最終更新 2020/06/24]

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