羽鳥×千秋

□わがままな彼氏の疑問
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〜はじめに〜

まだアニメでしか知識はありませんが、何故か書けたので投下します。

キャラのイメージがいまいち掴めていないのはご愛嬌で!

それが許せない人は速攻でバックを!

では、『むっつり鳥』の再飛来です。

心を寛大にして御楽しみ頂ければ幸いです♪



*****








ちょっと発酵し始めるエメラルド編集部と時を同じくして、ちょっと不貞腐れ始める少女漫画家が居た。

男でありながら女性顔負けの乙女チックな作品を世に生み出す彼の名前は吉野千秋。

さて、その気鋭の漫画家がいつもながらのスランプ及び停滞時期に陥ると、決まって逃走を企てるのだが、今回はそうはいかなかった。


「吉野。いつまでも漫画ばかり読んでないでいい加減に仕事しろ。」

「・・・今、他作家さんの作品読んで指揮を高めてるの。」

千秋は仕事用のデスクの前に居ながらも一向に作業を進めず、キャスター付きの椅子をつま先でキュルキュル前後に動かして漫画を読み漁っている。

その姿に、どう見ても仕事する意欲はない・・・・と、勘ぐるのは千秋の担当編集者であり幼馴染かつ恋人の羽鳥芳雪。

そして、千秋の逃亡を阻止するにかけては血も涙も無いハンター並の男。


「ほら、千秋っ!幾らまだアシスタントを入れない時期だからって気を抜くな。だらしないぞ。足も開くなっ!みっともない!」

「ひゃんっ!」

股を開いて椅子で遊ぶ千秋のはしたなさに業を煮やした羽鳥は、千秋の前に回り込むと思い切りよく両腿をぶつけ合わせ脚を閉じさせた。

いきなり脚を閉じさせられた衝撃に痛みを感じた千秋は「う〜っ」と唸ると羽鳥を睨む。

そして、何を思ったのか、読んでいた漫画を羽鳥に見せ付けてくる。


「・・・・何?」

「この漫画の、このコマの所なんだけどさぁ・・・ついに主人公が告白するって瞬間に雨の音で声が掻き消されるんだよね。」

開いて見せられた漫画のページには千秋が言うように土砂降りの雨の中で主人公が告白するシーンが描かれている。

そして『ザアアアッ』という雨の音を表した文字の上に『す  です』との台詞が重なって何を言っているのかを曖昧にさせてしまっていた。

恐らくこの場合、主人公は『好きです』と言っているのだろうけど、あえてそれを相手に聞こえなくさせているのがこのシーンでの醍醐味だ。


「・・で?それがどうした?パクるのか?」

「パクんねぇよっっ!!誰がそこまで落ちぶれるかってんだ!!俺が言いたいのはこんな雨の音で本当に声が掻き消されちゃうものなのかっていう疑問だよ!」


漫画の批評をしてる訳ではないが、千秋の素朴な疑問は膨れ上がり、今では仕事も手につかないらしい。

「研究熱心なのは良い事だ。気になるんなら浴室のシャワーを使って試してみればいいだろう?」

「あ、そうか!シャワーの音を雨に見立てて人の声が聞こえるかどうかやってみればいいんだよな?トリってば頭良い〜」

疑問が解消される予感に、千秋は心躍らせ嬉々として浴室に向う。

さっそく実験する意気込みの千秋を、羽鳥は無表情のまま後を追った。



「吉野、服脱げよ。シャワーの際にまで寄るんなら濡れるからな。」

「あ、うん。そうだね・・・脱いじゃうよ・・って、何でトリまで脱ぐの?」

脱衣所で言われるまま素直に服を脱いでいく千秋の隣で、羽鳥も同じように服を脱いでいる。


「俺だって服が濡れるのは嫌だからな。」

「いや・・・そうじゃなくて、どうしてトリまで浴室に入るの?」

「お前、馬鹿か?お前の声が聞こえるかどうか誰が確かめるんだ?」

「あ、そうか!ありがと。トリ。」

トリの行動を理解して、千秋は実験の協力に感謝の意を示しニコリと微笑んで見せた。

そして、千秋は何の疑いも持たないまま全裸になり、これまた全裸となった羽鳥と連れ立って浴室に入るのだった。

冷たい浴室のタイルに素足を踏み入れ、肩をぶるりと振るわせる千秋に、背後から羽鳥が指示を送る。

「吉野は壁際に行って・・・」

「シャワーの下に潜り込めばいいかな?」

「ああ、そうだな。二人でシャワーを挟もう・・・お前はシャワーヘッドに当たらないように座ろうか?」

「うん、こんな感じ?」

シャワーのノズルが掛けられている壁にもたれて座り込む千秋に、羽鳥がまたしても口を挟んだ。

「いや、違うな。それじゃ膝が濡れるから脚を開こう。こうやって、膝を割って・・・M字の形に・・・」

「ええっ!?ちょ・・・これって『M字開脚』じゃんっ!止めろ・・トリ・・・・これは・・・わわっ!」

どこぞで昔話題になったグラビアアイドルの悩殺ポーズ『M字開脚』を強いられた千秋は恥ずかしさに脚を閉じようと躍起になるが・・・

「吉野・・・少しの間だけだから・・・ほら、シャワーを流せば俺からは見えなくなるだろ?だから恥ずかしがるな・・」

「う、うう・・・・分かったから・・・早く、シャワー・・・」

シャワーからお湯が出てくるまで我慢しろとは言うが、そのシャワーのコックを捻るまでに羽鳥の動きはやけに遅く時間をかけているようにも窺えた。

(・・・ななっ・・・何、じっと見てんだよっ!馬鹿馬鹿馬鹿っ!馬鹿トリッ!早くシャワーの蛇口をひねろってば〜〜〜っ)

心の中で羽鳥に向かい暴言を吐きつつ、羞恥から堅く目をつむる千秋だけど、痛いくらいに羽鳥の視線を感じる。

その感じる視線の先が、明らかに自分の恥ずかしい場所――陰部であるのも分かる。


さっきは股を開いてはしたないとか言ってたヤツに、今度は剥き出しの下半身を晒しているなんて、ちょっと理不尽だ。

そんなに、見られると・・・ヤバイ。

・・・・身体の中心が熱くなって、熱が集中してしまう・・・・



「トリ・・・何して・・・もう・・・」

「触りもしないのに勃起してきたな。」

「わああんっ!それを言うなああぁっ!」

目を閉じてる千秋の状態をいい事に、羽鳥はシャワーを出す気がさらさら無い様子で千秋の股間を眺めている。

「・・・吉野、先っぽから・・・恥ずかしいお汁が・・・やらしいな、お前。」

「もおおおっ!それも、言うなってぇ・・・もぅ・・やだぁ・・・」

見られるだけ感じてしまう敏感な千秋の身体。

羽鳥の言葉は決して千秋の羞恥を煽って辱める訳ではなく、本当に千秋の細いペニスの先端からは透明な雫の玉が滲んでいるのだ。

もちろん、そんな初心な反応を示す千秋が可愛くて仕方ない羽鳥だが、千秋をこんな欲情しやすい体質に変えたのは羽鳥本人だ。

何も知らなかった真っ白な身体に自分の分身を突き入れ、所有の証を刻み付けて己の細胞を注いだ。

思う側から、ほら・・・・


乾いた浴室のタイルの上を、千秋の腰が物欲しそうに小さく揺れて、その先の行為を期待している。


―――その、清らかで穢れを知らないあどけない顔で、いやらしく俺にねだってみせろ・・・

―――お前の上目使いは犯罪なんだ・・・



「さぁ、千秋・・・・告白してご覧?」


キュッと捻られる蛇口。

シャワーノズルから降り注ぐ水流。

勢いのついた水音はゲリラ豪雨のように激しく浴室のタイルを叩き。

シャワーの音は雨の音さながらに二人の聴覚を遮断していく。


ふたりの間には滝のような水があってふたりを隔ててしまう。

―――それが、無性に寂しくて。悲しくて。切なくて。


シャワーの水圧に逆らって、求めるように手が伸びてしまう・・・




 つい、告白をしてしまう。





「トリ・・・抱いて・・・・」




そのおねだりは、シャワーの音に掻き消される事もなく。



―――羽鳥に届いた。








*****
お終い♪

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