その他CP
□キミに恋して。
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〜諸注意〜
おかしな野分がおかしな行動と言動を発します。
しかし、これらのものは作者の偏見と空想による産物で書き出されたものですので絶対に真似しないで下さいね。
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・・・・野分がおかしい。
いや、おかしいと言ってもそもそも男の俺を好きだの惚れただのと連日連夜言ってくる時点ですでにおかしいのだが・・・
おかしさの度合いがこれまでと違うのだ。
なんと言うか、おかしさの極地を極めたというか・・・・
おかしい教の教祖にでもなったというか・・
うだるような夏の暑さのせいにするにはいかんせん無理があった。
「・・ヒロさん・・・」
「なっ、なんだよ・・」
そろそろ寝ようかとベットに上がった俺の足首を掴み、野分が俺の足裏をじっと見ている。
「・・・足の指、舐めていいですか?」
でた。おかしな野分君!!
「いいいっ!!良いわけねぇだろッ!!人の足を掴んだと思えば・・・てめぇ、何言い出す・・」
ペロン。
「ぎゃああああ!!??」
時遅し。すでに野分は俺の足の指をご賞味している。
「っんちゅ・・・きもち、いいですか?ヒロさ・・・ちゅくぅっ、足の指って・・・性感帯がある・・・ちゅ・・らしいです・・」
「だああっ!!舐めながらしゃべんなっ!くすぐっ・・・てぇっ、ひゃああぁっ!」
こんな風に足の指を舐めるというマニアックな行為の他に野分は色々と俺に無理難題を押し付けてくるようになった。
ある夜は『長ネギをアソコに挿れるとものすっごい痛いそうです・・・・試していいですか?ヒロさん・・』と、言われたので『自分のに突っ込んどけっ!』と返した。
ある日には、晩酌しましょう!と言って酒を勧められ、一瞬目を離した隙に目薬を数滴グラスに落とされた。
『・・・・何のつもりだ?』と聞くと、野分は『酒に目薬入れて飲むと媚薬の代わりになると聞いたので・・・』と信じられない戯言をほざいた。
・・・酒に目薬って何年前に流行った嘘だよ・・そもそもそれって睡眠薬になるんじゃなかったか?どちらにしても、これは都市伝説の域に達している。
また、ある休日には電車でおでかけしようと誘われた。
おかしな野分君にしてはまともな誘いじゃないかと感心してると、『痴漢ごっこしてもいいですか?』とダメ出しされた。
結局は痴漢ごっこがしたいから電車に乗りたかったらしい。
・・下手すれば野分が犯罪者となってお縄を頂戴する事態に成りかねないので、それは断固として断った。
また、ある朝には爽やかなリビングで浣腸薬を手にしている野分を目撃した。
本能で身の危険を感じた俺は逃げるように身支度をして家を飛び出すのだが、後一歩の所で野分に捕獲された。
『・・・ヒロさん・・コレ(浣腸薬)で、スカト・・『やらねぇ!!!絶対やらねぇぇ!!!』と丁重にお断り申し上げたのだが・・
『ヒロさん・・怖がらなくても大丈夫ですよ、ほら、テレビのコマーシャルでも言ってるでしょ?「浣腸を注す、二本も注す」って・・・』
『馬鹿か!?それは「キンチョウの夏、日本の夏」って言ってんだッッ!!』
・・・どうやら暑さで溶けた野分の脳は聴覚も侵しているようで、有り得ない聞き間違いをしていた。
そんな野分を病院に連れて行き、精密検査を受けさせるべきか否かと悩むものの、野分本人は医者として立派に働いている。
日常生活においては相変わらず『いい人』を絵に描いたような好青年だし、どうやら俺に対してだけおかしな野分君になるらしいので、俺さえ我慢すればいいのかも知れない。
しかし、この変態っぷりはどう対処すればいいのか?
あんな一部のマニアしか知らないだろう知識を何処から仕入れてくるのか・・
しかも浅はかな知識で挑まれるのではこっちの身が危ない。
マジでアッチの世界に行ってしまう。
とにかく野分はおかしいのだ。
なぜ?
楽しんでいるというより何処か切羽詰った必死さを見せる野分・・・
何が野分をそこまで駆り立てているんだ?
すっかり冷え切った晩御飯を前にして、勤務先からまだ帰らない野分を待つ弘樹。
考え事をしている注意力散漫な弘樹の背後に伸びてくる二本の逞しい腕が・・・
「ただいま帰りました、ヒロさん。食事でもお風呂でもなくヒロさんでお願いします。」
「ぎゃあっ!?誰も聞いてねぇよ!何勝手に俺をチョイスしてやがるっ!」
新婚さんの定番の台詞、『ご飯にする?お風呂にする?それとも、わ・た・し?』を一人で完結させた野分は、軽々と弘樹を抱き上げ寝室へと向かう。
無論、弘樹だってぎゃあぎゃあと抵抗は試みるが、ベットに落とされて優しく髪を撫でられると、たったそれだけの事なのに胸が締め付けられるように切なくなってしまい何も出来なくなる。
やっぱり自分は野分が好きなんだな・・・なんて改めて実感したりして。
「・・・ん、ぅふ・・・っ」
弘樹の前髪を掻き上げ、露になった額にキスを一つ。
次いで目蓋から頬へと野分の唇が滑り降りてきて唇同士が重なる。
ついばむみたいなキスはやがて深いものへと変化して弘樹の思考回路を混濁させていく。
「ヒロさん・・・俺の事、好きですか?」
「・・・・。」
応えられる筈も無い、ストレートな質問。
「応えないなら体に聞いてもいいですか?ヒロさんは口よりも体の方が素直ですから・・・」
「ぐっ・・・」
・・もしかして、数々のいやらしい事を仕掛けて来たのは俺に自分の気持ちを自覚させるため?
なんてのを漠然と考えながら、弘樹はベットに深く身を沈めさせられた。