Novel
□白い翼、黒い俺。
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「待ちやがれ!怪盗キッド!」
「おっ・・・と、これはこれは、お早いお着きで名探偵。」
月に宝石をかざし終わった俺が名探偵の方を見て言う。
「この宝石は、目当てのものではなかったのでお返しします。皆様方にお伝えください、ご迷惑おかけしましたとね❤」
と名探偵に宝石を返す俺。
「ではまたお会いしましょう、名探偵。」
白い翼で飛び出した俺。
―――最近夜空が綺麗だとは思えなくなった―――
初めて犯罪に手を出して何カ月たったのか、
なんのために犯罪を、誰のために犯罪を、犯しているのか、
―――何にもワカラナイ―――
今でも覚えている、最初のあの日、無我夢中にやった、
(俺はもう坊ちゃまじゃない・・・)
((怪盗キッドだ。))
最初は大変だった紳士的な言葉遣い、
―――今では慣れた―――
何もかも、
表向きは、純白、
裏側は、 漆黒、
自分の人格も性格も忘れた、
――ワカラナイ――
黒羽快斗は誰なのか、
俺は何なのか、
何のために怪盗を続けているのか、
誰を信じたらいいのか、
身近にいる名探偵。
そして幼馴染、
みんなみんな敵だ。
親父もそんな気持ちだったのか?
怖い。ゾッとする
助けてくれよ、
――ダレカ、――
―――ダレカ―――、
「ではこのビックジュエル頂いていきますよ。」
余裕そうに宝石を奪う俺。
月にかざすいつもの動作。
「やっぱりはずれか・・・」
―――いつまで怪盗を続ければいいのか―――
分かんねぇ、
親父助けてくれよ。
ポーカーフェイスなんか役に立たたねぇ、
(白い翼 黒い俺、)
(それでも俺は、)
(この道なき道を、)
(生きていく、)
(だからもうちょっと頑張ってみる。)
(そんな、毎日。)