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□幸せの海に沈む
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“ヘルガーのブラッシングがしたい。”







目の前の愛しい彼女、カノンが私にそう言ったのはつい一時間ほど前。







自分のヘルガーはよくしつけされていて、よっぽどのことがない限りカノンに手を出したりはしないだろう。



(まずカノンはそんなことはしませんが)








心の中で少し戸惑いつつヘルガーのボールを預けたのはいいのだが、












『つやつや!・・・・あ、ちょっとくすぐったいよーあはは』





「・・・・・・。」








これはこれでどうなのか。














私以外にはめったに気を許さないヘルガーがカノンと楽しそうに遊んでいる。






いや、喜ばしいことなのだが・・・・













「カノン、」






『あ、なんですかアポロさ・・・・。もーヘルガー!わっあはは』













ボールを預けてから一時間。私は楽しそうな二人(一人と一匹)に置き去りにされている。






というか話しかけようとするとヘルガーが彼女にじゃれ付くのだ。










心なしかヘルガーは少し得意げな顔でこちらをみてくる







(・・・・・・・ヘルガー。)






なんだか、イライラする

















「ヘルガー戻りなさい。」







ヘルガーは少し残念そうだったが素直にボールの中へ戻っていった。




彼女は驚いたような怒ったような表情でこちらを見てくる。







『アポロさーん・・・・。』









むくれたように言うカノンは言いようもないほどかわいい。









えぇ、どうせ彼女にベタ惚れですよ。










思わず抱き寄せると彼女は戸惑いつつも抱き返してきた。










『どうしたんですか?』







「こっちにもかまってくださいよ。」




そう耳元でささやくと、クスリとカノンは笑った。














『もちろん。アポロさんの方が好きですから。』
















そう笑う彼女に勝てる気はしない。






















幸せの海に沈む




(日常と言う幸せの海に沈む)
 

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