08/13の日記

21:56
ある夏の日( 小話)
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※28♀


「んん…」


目をしぱしぱとさせて柳生は目をこしこしとこすっている。


「柳生、眠いん…?」
「ぁ…そんなことないですよ」


此処は仁王の部屋。暑いのが苦手な仁王の部屋はエアコンががんがんかかっていて涼しい。いつもなら「低すぎです!身体を冷やしすぎては…」とうんぬんかんぬん彼を叱る柳生であったが、今日の彼女はいつもよりも大人しい。


「嘘じゃ、おめめがとろんとしてるなり」


読んでいた雑誌を放り投げて床にぺたんと座ってる彼女のもとへ近づく。読み途中だと言って自宅から持ってきた推理小説のページもほとんど進んでいなかった。


「どうしたん?最近寝てないんか?」


そっと白い頬に手を寄せる。抵抗する手もない。それをいいことに今度は頭を撫でてみた。やはり抵抗してこない。


「実は…」
「ん?」
「実は部屋のエアコンが壊れてしまって」
「それは災難じゃったの」
「扇風機でしのいでいたのですが、なかなか寝付けなくて…」
「…比呂、ちょおこっち来んしゃい」

ベッドの縁に座った仁王が「うんしょ」と彼女の身体を持ち上げ、そのままその身体を横にさせた。さらりとした髪を一房すくって背中をぽんぽんと叩いてやる。


「仁王、くん?」
「寝よ、比呂」
「しかし、久しぶりに…二人きり、なのに…」


今まで部活三昧であった彼らにようやくできた、二人で過ごせる時間。眠気に耐えてでも、彼女はその時間を無駄にはしたくなかったのだ。


「確かにそうじゃの。けど、これからはゆっくりできるじゃろ?」
「…はい」
「比呂、今日は一緒にお昼寝しよ」


優しい瞳でそんなことを言うから。無意識にこくんと頷いた。だんだんと瞼が落ちてくる。そっと眼鏡が外された。


「にお、くん」
「ん?」
「起きたら、アイスでも、買いに、行きましょう」
Γん、ええのう…比呂」


紡がれる言葉が断続的になってきた。耳もとで囁かれた「おやすみ」を最後に、彼女の意識はふわりと途切れた。


(ど、どうすればええんじゃあ…!)


その後ものの数分数分で眠りについた柳生であったが、落ち着かなかったのか仁王の頭を抱え込んだまま眠りについてしまった。となると、彼の頭は自然と彼女の胸元にある訳で。


(相変わらずやらかいのう…って何考えてるんじゃ雅治!邪になるんじゃなか…けど触りた…ああもう…!)

顔を赤らめたまま狼にならないよう葛藤する仁王がいたとかいなかったとか。







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大分遅れてしまいましたが…89の日にupするつもりだったお話…(/_;)
抱き癖のある比呂ちゃんとあたふたしちゃう仁王くんが書けて満足です!

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