Dear
□幸せの香り
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「比呂ぉ…男には気を付けろ、って言うとるじゃろ。まった油断しおって…」
「…あの方は父の友人です!」
「甘い…甘いぜよ。男はみんな狼じゃき。頼むからもうちょい警戒心持って…」
比呂の肩口に頭を埋める仁王の髪を、彼女は優しく撫ぜる。
「もう…私は君と結婚している身で、千比絽さんも春乃さんもいるのですよ?例えそのようなことがあったとしても、きちんとお断りします。君は心配し過ぎです」
「夫婦なんだから当たり前じゃろ。お前さんは昔からこういうことに関しては鈍感じゃからのう」
「別にそんなことは…」
抱きしめる腕の力が一層強くなり、比呂は離れようともがくが、敵わないと分かると彼の好きなようにさせる。結局は、彼女も彼に甘いのだ。
「全く、君はいつまで経っても子どもみたいですね…千比絽さんたちと変わらないではありませんか」
「おまんにだけじゃ。けど、あいつらにはこんなことできんぜよ…」
「…ぁ、ちょっと…!」
彼女が力が抜いたのをいいことに、仁王は左手で彼女の太腿に触れる。抱きしめる右腕の力はそのままに、左手は白を基調とした花柄のワンピースをするすると捲るように這い上がってくる。ばたばたと両足を動かし、比呂はキッチンの二人には聞こえないような音量で反発した。
「…何を考えているのですか!すぐ傍に彼らがいるのですよ!?」
「何かむかっともきたけど、むらっともきた。比呂、今日の服可愛い、つかエロい…」
「それは君の主観でしょう…!」
「最後までせんから、キスマーク付けるだけじゃき…」
首筋をぺろりと舐められる。ふるりと震えた比呂を満足げに見つめ、そこに吸い付こうとする。