Dear
□5月5日
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「では私は千比絽さんを呼んできますね。せっかくですから、それ、隠しておいてびっくりさせましょう」
「うん!」
パーティーの用意が終わると、比呂はスリッパをならして、部屋で絵本を読んでいる千比絽を呼びに行った。
「ばかパパ、ちひろくるよ」
「ぉ、おお!すまんトリップしとったわ」
「…はぁ」
父親なのにどうでもいいように溜息をつくと、かさかさと自分の背中の後ろに隠した。
「千比絽、きっと喜んでくれるぜよ」
「ん…」
仁王の手には、折り紙で作ったお手製のミニ鯉のぼり。そして春乃の手には、新聞紙で作ったお手製の兜。
(きょうはこどものひ。ちひろに、ひなまつりにおひなさまをもらったから。だからあたしもちひろにあげるの!)
「はるちゃん」
「ちひろ…はい!」
そんな微笑ましい二人を、父母と、鯉のぼりと、青空が優しく見守っていたのだった。
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こどもの日。春乃はやんちゃで母っ子のようです(ワラ)