神様のエレベーター

□〜序章〜
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電車の通り過ぎる音が聞こえる

藤原昭仁は息を荒げながら呟いた
「……はぁ……くっそ……遅刻だ……。」

時刻は午前8時を回っていた
昭仁の済む地域からは
高校へ間に合う可能性がある電車は
あれが最後だった。

なぜなら朝礼が始まるのは8時30分なのに対し
次の電車は8時32分だからだ。

゙これだから田舎は困る゙と心の中で歎き
電車をひたすら待っていた。

10分くらい経った後に
誰かに「昭仁ー!」と呼ばれる声が聞こえた。

振り向くとそこには
クラスメイトである直井晴一が
こちらに向かって手を振っていた。

「何だ。遅刻かよ!」
と背中を叩かれたので

「お互い様だろうが!」
と背中を叩き返した。

直井は学年唯一の遅刻魔だ
登校日が100あるとして
おそらく90は遅刻だ。

しかも、その内の20は欠席なので
クラスでは少し浮いた存在だった。

昭仁と直井は幼なじみで
互いに「親友」を豪語している。

クラスでは、このコンビを「凸凹」と呼んでいる
理由は身長差で
昭仁が162pに対して
直井が190pである事からだ。

しかし、昭仁はこれを気に入ってはいない。
 

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