短編&中編

□親友の想い人(短編)
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ここはとある個室のある喫茶店である…




優子はある人物と待ち合わせをしていた…すると…




野呂「やっ!昨日ぶり〜」




そこに現れたのはSDN48の野呂 佳代である…




大島「…昨日ぶり…」


野呂「…落ち込んでるね…で?…個室じゃないと話せない悩みって何なの?」




そう…優子がノンティーを個室喫茶店に呼んだのは悩み事を聞いて貰う為である…




大島「…今ちょっと本気で悩んでてさ…ねえ…秋元さんにSDN48入りたいって言ったら許可出ると思う?」


野呂「…はい?…」




ノンティーの思考が一瞬停止した…




こやつ…今何と言った?




優子がSDN48に入る?




いやいや…きっと聞き間違いだね…




野呂「ゴメン…もう1回聞いて良いかな?」


大島「だからSDN48に入る許可が下りるかなって話」


野呂「…聞き間違いじゃなかった…」


大島「…聞き間違いって…そこまで歳じゃないでしょうが…」


野呂「にしても何でまたそんな考えになったのさ…」


大島「SDN48って確か恋愛自由だったよね?」


野呂「そうだよ…って優子…まさか…」


大島「…そっ…かよが思ってる事で合ってるよ…」


野呂「…マジですか…でも片思いならOKな筈でしょ?」


大島「…そんな悠長な事してたらライバルに取られて手遅れになる…」




優子が物凄く不機嫌な顔になり愚痴っている…




大島「…すでにあきちゃやあみなが"ちょっと待った!"…何さ?」


野呂「…ライバルってメンバー内にいるって事?」


大島「そっ。しかも大量に…」


野呂「大量にって…一体誰がライバルなのさ?」


大島「えっと…あっちゃん・たかみな・あきちゃ・まりこ・さっしー・小嶋さん・ともちん・みいちゃん・佐江ちゃん・
   とも〜み・ゆきりん・きたりえ・まゆゆ・さやか・うめちゃん・もえの・ゆいちゃん・なっちゃん…それから…」


野呂「待った!?待った!?」


大島「…今度は何さ?…」


野呂「一体何人いるのさ!?」


大島「途方もない人数だとしか言えない…さらに卒業した1期生とSKEの2名入るから数え切れない…」


野呂「卒業した1期生全員?て言うか相手は誰なのさ?」


大島「1週間ほど前から劇場で働き始めたスタッフさん。ちなみに6年前にも働いてたんだよ」


野呂「なるほど、それで1期生が全員絡んでるのか…ん?…待って優子…まさか…」




そう…ノンティーは違和感を覚えたのだ…




6年前のスタッフ…もしかして…1期生の落ち込む原因に関わっている人物なんじゃ…




大島「…さすが感が良いね…そうだよ…1期生が笑顔を作れない原因に関与している人物だよ…」


野呂「…なるほど…"ソイツ"が1期生の笑顔を"それ以上言ったら許さないよ…"…え…」




優子は怒っている…




大島「何を聞いてたの…かよ…宗さんは好かれてるって言ったでしょ…」


野呂「…でも関与してるって事は…」


大島「…ゴメン…秋元さんから外部に洩らすなと指示が出てるから詳しい詳細は話せない…かよ…
   詳しい詳細は省くけど…今から話す事は誰にも話さないで…」





優子は1度深呼吸し、そして再び話し出す…





大島「…6年前…1部の1期生がトラブルを起してしまったんだよ…」


野呂「…トラブル?…」


大島「そう…それもかなり最悪なトラブル…それが原因でAKB48はデビュー前に解散になるはずだった…」


野呂「…なっ!?…」


大島「…でも1人のスタッフさんが、自ら志願し…その"罪"を全て被った…それが宗さん…」


野呂「さっき言ってた人だね…」


大島「うん…そして当事者とスタッフさん以外は何も知らされないまま、時は進んだ…でも…
   何も知らないメンバーが宗さんを"罪"の事で追い詰めてしまったの…その結果…
   宗さんの心は"壊れて"しまい失踪してしまった…」




優子の瞳から涙が零れ落ちる…詳しい詳細はかなり酷い内容なのだろう…




大島「そして失踪した宗さんの事を悪く言ってたメンバーに宗さんと仲が良かったスタッフさんが
   クビ覚悟で"真実"を伝えた為に何も知らなかったメンバー全員が"真実"を知る事になった…」



野呂「…じゃあ1期生が心から笑えない原因ってまさか…」


大島「…そう…知らなかったとはいえ…自分達の"夢"を救ってくれた恩人を"壊して"しまったから…」


野呂「…それが原因…でも何で全てのメンバーに話さなかったの?話していればこんな事には…」


大島「…それは…」




ノンティーは自分の聞いた質問が"詳細"触れる物だと察知した…





野呂「…今のは忘れて…"詳細"に触れるよね…」


大島「…いや…全部は無理だけど…かよを信用して話すよ…」


野呂「…いや言わなくていい…秋元さんからストップ掛かってるんでしょ?」


大島「…ううん…本来は全メンバーに話さなければならいと思う…だから少し話すよ…」


野呂「…判った…絶対に誰にも話さないよ…」


大島「…トラブルの内容は当事者が喧嘩を始めた時、止めに入ったメンバーを突き飛ばして
   舞台の下に落としてしまった。落とされたメンバーは頭を強打…そして亡くなった…」




ノンティ−は唖然とする…優子の口から解き放たれた言葉は…まさに最悪な展開だった…




野呂「…何て事を…最悪なんてレベルじゃないトラブルじゃんか…」


大島「…亡くなったメンバーは全メンバーに好かれていた…だから当事者が殺したとなると、
   メンバーが絶対分裂するだろうと言う事で、伏せられたんだよ…当初宗さんは
   "罪"を被った後に直ぐ退社すると言ったんだけど…それだと当事者が壊れるからって
   言われてね…」


野呂「…そうか…それで留まった結果、逆にその人を壊す形になってしまったんだね…」


大島「…そして亡くなった1期生は…宗さんの妹さんの水夏さん…悲しみに悪口…
   そして罵倒…陰口…様々な悪条件で宗さんが壊れる形になってしまった…」


野呂「………」




ノンティーはもう…言葉すら出ない…




大島「…私達は…宗さんを幸せにしなければならない…私達の"夢"を叶えてくれた恩人を…」


野呂「…事の詳細は判った…でも…惹かれた理由はそれだけじゃないんでしょ?」


大島「…うん…それは…」




ロケ中に自分達を助けてくれた事




6年前に続けていた御祈りを今も続けていた事




吐血してまでボイトレをした事




大声ダイヤモンドを聞いてあまりの美声に心奪われた事




化物扱いをされようともメンバーの怪我を治療した事




優子は一部伏せたものの自分達の周りで起こった事をノンティーに告げた…




野呂「…自己犠牲が強すぎる気がするんだけど…何で?」


大島「…水夏さんの遺言が"みんなをお願い"だったそうだよ…」


野呂「…それでか…でもこんな事ずっと続けてれば…」


大島「…そう…だからそうならない為にも誰かが支えてやらないと…って誰か来た…」




優子は人の気配を感じた様だ…すると…




ドアがノックされた…




店員「大島さま…お客様がいらしてますが…いかがなさいますか?」


大島「…私に?…他に誰も呼んでないんだけど…名前判りますか?」


店員「はい。劇場のスタッフをしている"聖 宗司"と名乗りました。」


大島「…はい!?何で宗さんがここに!?」


店員「何でも忘れ物を渡したいとの事ですが…いかがなさいますか?」


大島「あっはい。ここに通して下さい。話したい事もありますし…」


店員「承知しました。少々お待ち下さい…」




そう言うと店員は下がって行った…




野呂「…優子もしかして…さっきの…」


大島「もしかしなくても宗さんだよ…にしても私何か忘れたっけ?」




優子は首を傾げる…

 
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