短編&中編

□高城家の姫君(中編)
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マジ女の廊下を2人の男が歩いている…



今時珍しいリーゼント頭の男が袴の和装に身を包んでいる男に話し掛ける…




孝蔵「にしても何で転校なんすか?しかも共学になったばっかのマジ女に…」


宗司「…ここに亜樹がいるんだ…」


孝蔵「…そう言えば姫ここに通ってんだっけって宗さん…キレかけてますね…まさか姫が…」


宗司「…あぁ…3日前…顔に酷い痣作って来たと大殿から連絡が来た…今までもあったらしいが
   本人が大丈夫と言って来たのでスルーしていそうだが…今回はスルーするには痣が酷いらしい…
   孝蔵…密約の件…守って貰うぞ…」




※密約とは宗司が"真夜中の守人"となる代りに"真夜中の箱舟全体で高城亜樹を守護する"という物である…




孝蔵「…ミッドに喧嘩を売るたぁ良い度胸だ…」


宗司「…言って置くが…首謀者は俺が殺るぞ?」


孝蔵「はい…雑魚は親衛隊にお任せ下さい…」


宗司「さて…着いたようだな…」


孝蔵「…まず俺から入ります…」




そう言うと2人は2年C組に入った…すると…




だるま「なんだお前…ここはお前みたいのの来るとこじゃねえぞ!」




次の瞬間…教室の温度が一気に下がる…




全員「…っ!?」




孝蔵「てめぇ…死にてぇのか?」




孝蔵はだるまを威圧する…鋭い眼光から放たれる視線は…




まさに蛇に睨まれた蛙の様に…だるまの体が固着する…




だるま「…うっ…あっ…」




そんな孝蔵に気づいた者が居た…




ヲタ「馬鹿!?だるま!?その人は!?」


孝蔵「…そう言えば同じクラスって言ってたな…莉乃…こいつ…潰しても良いか?」


ヲタ「すみません!勘弁してやって下さい!」




まわりは驚いている…チームホルモンのリーダーが頭を下げているのだから…




学ラン「思い出した!?確かこの人は!?」


だるま「だから一体こいつがなん「だるま!?」っ!?」


孝蔵「知らんなら自己紹介をしようか…真夜中の箱舟(ミッドナイト・アーク)七代目総長…灘 孝蔵(なだ こうぞう)だ…」




ざわっ!?




だるま「こんな奴がミッドの総長だと"がしっ!"…がぁっ!?」


学ラン「っ!?ブラックより速いだと!?」




学ランが驚くのも無理は無い…だるまが呟いた瞬間…
ブラックの様に残像を残す事無く…一瞬で近づいた孝蔵に頭を鷲掴みにされたのだ…




ギシッミシッギシッ… だるまの頭部から頭蓋骨が軋む音がする…




だるま「ぎゃあああああ!?」


孝蔵「…あんま調子こいてんなよ?…」


アキチャ「孝蔵さん!ちゃんと言い聞かすんで許してやって下さい!」


孝蔵「おっ?姫居られたんですか?…姫に頼まれちゃしょうがない…次から気をつけな…」




そう言うと…だるまの顔面から手を離す…




だるま「痛てぇ…なんちゅう握力だ…」




だるまが涙目になっていると…孝蔵の後からもう1人の和装の青年が入って来た…




宗司「…孝蔵…初日早々から揉め事起すなや…喧嘩吹っ掛けに来た訳じゃねぇんだぞ…」


孝蔵「…すみません…宗さん…どうもにも癖なもんで…」


ヲタ「なっ!?宗司さんまで!?」


アキチャ「どうしてここに…」


学ラン「灘さんが敬語だと?…この人は一体…」




宗司はアキチャの所まで無言で歩いて片膝をつき…臣下の礼を取る…




そして宗司の後で孝蔵も同じ様に臣下の礼を取る…




ざわっ!




周りがざわつくのも無理もない…ミッドの総長…それに…
その総長が敬語を使った人物がアキチャの前で跪いたのだから…




宗司「御久しぶりです…大殿からの召喚状にて参上した次第です…亜樹姫の守護者及び…」


孝蔵「…亜樹姫親衛隊 隊長は…」


宗司&孝蔵「「…本日より亜樹姫の守護及び邪魔者の排除に我等が命を持って遂行します…」」




2人はそうアキチャに告げると…頭を下げた…




クラスの連中は混乱中である…




アキチャが姫?




ミッドの総長が敬語を使うこの人は誰?




アキチャ「…父上からの命なら仕方がありません…その拝命お受けします…ですが…
     命は掛けないで下さい…宗司さんに死なれたら私は…」



クラスの連中は絶句する…普段のアキチャからは想像出来ない口調だからだ…




宗司「…善処します…」


ヲタ「…そんな状況にはならないと思いますけどね…」


孝蔵「…そうなんだが建前だと思えや莉乃…」


宗司「…孝蔵…油断してると死ぬぜ?」


孝蔵「俺は油断してませんよ?」


宗司「…なら良い…」


アキチャ「2人ともお久しぶりです…あと宗司さんと一緒居れるのは嬉しいです」




アキチャ&宗司&孝蔵は談笑している…それを見た者達は…




だるま「おいヲタ…この人は一体…あと姫って何だ?」


バンジー「アキチャのあの口調おかしいって…あれじゃ良いとこのお嬢様だぞ?」


ムクチ「…(ウンウン)…」


アキチャ「…宗司さんが来たのなら、もう隠しては置けないか…話して良いぞ…」



アキチャはヲタにそう告げる…



ヲタ「…アキチャは"東京最強の武道集団 高城組"の御令嬢だ…」


ウナギ「なっ…初めて聞いたぞ…」


ヲタ「話さないでくれって言われてたしな…ちなみに宗司さんはアキチャの許婚だ」


クラス全員「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」




これには流石の前田も驚いたようだ…大口を開けてヲタの方を向いている…




ちなみに当事者のアキチャは真っ赤である…



ウナギ「…婚約者って事?」


ヲタ「…何を混乱してやがる…ほぼ一緒の意味だろうが…」


だるま「何でヲタは知ってるんだ?」


ヲタ「…1年前までは知らなかった…そう1年前のあの日…知ったんだ…」


学ラン「1年前だと?」


アキチャ「私とヲタがヤバ女の連中と揉めた時の事だ…」


バンジー「…確かヤバ女の総長がミッドの特隊と知り合いで一緒に絡んで来たって奴か…」


ヲタ「そうだ…その時に色々知った…」




そしてヲタは宗司の方を向き…




ヲタ「そして…この人は…"莉乃…自分で話す…"…判りました…」


宗司「今日から同じクラスだ…俺も自己紹介して置こうか…」




宗司は立ち上がり…クラスの連中の方に振り向く…そして…




宗司「名は聖 宗司…代々高城家の守護している家系の者だ…
   この際だハッキリ言って置く…俺の使命は"亜樹姫を守り抜く事"だ…よって
   この中に姫を傷つける者が居るのであれば…」



宗司から大量の殺気が溢れ出す…




クラス全員「っ!?」




宗司「クラスメイトだろうとも…容赦はしない…」


孝蔵「俺もついでに言って置こうか…亜樹姫に被害が行く様な事態になれば…
   俺んとこの全兵隊を敵にまわすと思ってくれ…ミッドは"亜樹姫親衛隊"だからよ…」


ヲタ「知っているかどうかは定かではないが…一応付け足して置くと宗司さんは"鬼人"って呼ばれてる人だ」


学ラン「なっ!?…あの伝説の…」


孝蔵「ほう…知ってんのか?…知ってる奴…少ないんだがな…」


学ラン「いえ…噂で知っているだけです…去年鬼人と呼ばれる男にミッドの特攻隊が壊滅寸前にまで追い込まれたと…
    奇声を放ち…視界から消え…たった1度の攻撃なのに数人を再起不能にする…ただ…普通に考えたら漫画じゃ
    あるまいし視界から消える何て不可能…この学校に高速移動が武器のブラックと呼ばれる人物が居ますが…
    そいつですら"残像"は残る…ですがさっき灘さんも残像を残さず動いた…噂は…事実なんですか?」


孝蔵「残像を残さない位じゃ自慢にもならねぇな…俺が本気で動いても宗さんには瞬殺されるしな…
   でだ…噂の真相だが一部間違ってるが事実だ…周りには言ってくれるなよ?うちの汚点でしかないからな」


学ラン「そんな事が本当に可能なんですか?あと間違いとは?」


孝蔵「宗さんなら可能だぜ?間違ってんのは…壊滅寸前じゃなくて隊長を含む特攻隊70人は全滅…
   その後、駆け付けた一般兵120人を1人で潰してるって事さ…」


学ラン「なっ…」


ウナギ「何で敵同士なのに一緒にいるんですか?」


孝蔵「たまたまうちの初代と知り合いだったんで密約を交わしたからさ…宗さんがうちを守護する代わりに…
   うちの全兵隊が亜樹姫を守護するって盟約を交わしたんだ」


学ラン「…っ!?…初代ってまさか…"足技の魔術師"って言われた戸賀崎さん…」


宗司「…さすがトガさん…有名人だな…結構前の話なんだがな…」


孝蔵「…歴代最強ですからね…今現在でも結構知ってる人多いっすよ?」


宗司「ある意味伝説だからな…あの人は…さて昔話はここまでにしよう…莉乃…このクラスのトップは誰だ?」


だるま「あつ姐だ!」


ヲタ「それじゃあ判らんだろうが!あそこに居る眼鏡の奴です」


孝蔵「へぇ…良い気配してんじゃん…うちの部隊長クラスってとこか」


宗司「あぁ…そうだな…」




宗司は敦子の所まで行くとしゃがみ同じ目線の高さになる…そして…




宗司「あんた…名前は?」


前田「…前田 敦子…」


宗司「…そうか…トップだが自分には関係ないってとこか…」


前田「っ!?」


宗司「どっちでも良いが1個だけ言わせて貰う…俺らは亜樹姫だけの守護者だ…
   よってこの学校のトップ争いには関わらないからそのつもりで…」


孝蔵「お前らも覚えておけ…基本亜樹姫以外は守らん…が…莉乃は知り合いだから守ろう」


ヲタ「ありがとうございます!」


宗司「まっそんなとこだ…って…ん?」


アキチャ「どうしたんですか?」



宗司は敦子がやっていた問題集を覗き込む…



前田「…邪魔なんですが?」


宗司「…前田って言ったか…そこの答え間違ってるぞ?」


前田「…えっ?」


宗司「これだこれ…問4!」


前田「…これですか?」


宗司「判らんか?…ちょいとペンを貸してくれ…」




宗司は前田からシャーペンを借りると…ペンを走らす…




宗司「ここはだな…モルの方程式を応用してだな…基礎公式を使ったんじゃ不正解なのさ…なので…応用公式使って…」


前田「…ちょっと待って下さい…それだと…こっちの数字が…」


宗司「それは引っ掛けだ…だから…ここをこうしていくと…」


前田「…あっ!?」


宗司「判ったか?応用すれば簡単だぜ?」


前田「…ありがとう…頭良いんですね…」


宗司「そんな大したもんじゃねぇさ…が判らんとこがあれば聞いてくれ」




そんな2人を見て…



ヲタ「アキチャ…宗司さん…頭も一流?」


アキチャ「あぁ…本人曰く"大学院生"くらいの問題までなら解けるって言ってた…」


孝蔵「宗さんは完璧超人だからな…あと一流じゃない超一流だ…だから考えると疲れるだけだぞ…」




こんな感じで呆れている人々であった…
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