妹達との日々をもう一度(長編)

□第19話「スペシャリスト」
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ピィーガガジジピー




秋元「あーあーマイクのテスト中…テスト中…」


大島「ん?秋元さん?」


秋元「え〜この放送は舞台のスピーカーのみに流している…」


宮澤「…今度はここだけ?」


秋元「今、宗司君が音声収録室で歌を練習している…君達に
   宗司君に内緒で収録室の状況を流すので歌詞の表現を学んで欲しい」


指原「なるほど…そう言う事だったのか…」


峯岸「でも宗さん…秋元さんの気配が判らないほど集中してるみたいだね…」


板野「…うん…となると…凄いのが聞けるね…」


秋元「では流す…」




ピィーガガジジピー




宗司「…しいな…この曲は…大声ダイヤモンドか…テンポが速い…
   う〜ん棒立ちで歌う曲じゃないな…オリジナルで踊りも作るか…」


梅田「…今さらりと言ったけど…短時間で踊り作れるのかな…」


峯岸「多分可能だと思う…不可能な事は口に出さない人だから…」


宗司「…にしてもトガさんに入れて貰った他の2曲…惜しいな…
   もうちょい表現を直せば完璧なんだがな…」


大島「…他の2曲?」


宗司「…まずはこれ…もう少し主人公の気持ちで…悲しくも力強い声で歌えれば…」


才加「何の曲だろう…」


宗司「…春色の空の下を…君は一人で歩き始めるんだ…
   いつか見た夢のように…描いて来た長い道…」


全員「っ!?」




そう…宗司が歌っているのは…"桜の木になろう"である…




宗司「永遠の桜の木になろう…そう僕はここから動かないよ…
   もし君が心の道に迷っても…愛の場所がわかるように立っている!」




宗司ゆっくりと目を開け…




宗司「…うん…やはりこっちの方が心に響く気がするな…
   後であっちゃんに教えて直せば良いな」




それを聞いていたメンバー達は




大島「…心に響くなんてレベルじゃないよ…って佐江ちゃん涙!涙!」


宮澤「…え?わっ!?泣いてた!?」


米沢「昨日の人と同一人物じゃない気がする…」


才加「いや…同一人物だよ…」


宗司「…こっちの曲は…良い曲だな…何だろう物凄く俺向きか…
   流石は秋元さんってとこか…しかも…みいちゃんもはるなも上手くなったな…」


板野「…ノースリーブスかな…」


峯岸「宗さんに褒められた…」


宗司「これも惜しい…もう少し男心が判っていて歌えばなお良い…」


宮澤「…今度の曲は何だろう…宗司さん向き?」


宗司「僕にはそれがひとつのAnswer!永遠に君を守りたいんだ!」


全員「っ!?」




そう…宗司が次に歌っているのは…"Answer"である…




宗司「不えるだけの愛があるんだ…何にも知らずに微笑めばいい
   僕にはそれがひとつのAnswer!気づかせたくない切なさの距離!」




宗司ゆっくりと目を開け…




宗司「…うん…これくらい力強くても良い気がするな…後で3人に伝えよう
   些細な事かも知れないが…いや…これが出来ればあいつ等はもっと成長出来るはず…」




ピィーガガジジピー



秋元「…聞かせて正解だったようだ…宗司君の表現力…まさに世界レベル…
   やはり宗司君は君達の成長に"必要不可欠"なようだ…判らない事があれば
   宗司君に相談しなさい…彼はどんな歌でも対応出来る…では舞台の方
   頑張って下さい…以上だ…」




ピィーガガジジピー




全員「…」




その場に居る全員…無言である…それもそのはず…全員…真っ赤なのである…そして…




宮澤「…これはやばいって…公演後の歌に耐えれるかどうか…」


大島「…宗さんを声だけでこの破壊力か…ってあれ?」


才加「…どうしたの?」


大島「みいちゃんとゆいちゃん気絶してる!?」


指原「うそ!?」




とても幸せそうな顔で気絶している…




北原「こりゃ駄目ですね…」


梅田「みいちゃんは午前中の件もあるし…公演時間まで休ませた方が良いね…」


板野「そうだね…」


仁藤「でも不味いよね?…本人が居てさらにオリジナルの振り付けでしょ?」


大島「…冗談抜きで…死人が出そう…」


田名部「…何を歌って貰うんだっけ?」


指原「さっき宗さんもぼそって言ったけど"大声ダイヤモンド"です…」


中塚「…"君が大好きだ"なんて言われたら…」


内田「そもそも何で歌手じゃないの?この声なら間違いなくブレイクだよ?」


板野「何度もスカウト来たらしいんだけどね…全部断ってるからな〜」


松井「勿体無い…」


大島「本人曰く外見からして自分は人を引き付ける魅力が無いそうだよ…」


菊池「…それはないと思うけど?」


板野「"額に傷はあるわ…体中傷だらけだわだぞ?"との事だよ」


米沢「そんな事で魅力は下がらないと思うけどな…」


大島「そうだね…あきちゃも昨日そう言って宗さんに怒鳴ってた」


野中「…ところで…公演後の歌は私達も見て良いのかな?」


宮澤「良いと思うよ?その辺の制限はしてなかったし」


才加「ただ…のぼせる覚悟はしておきなよ?」


藤江「うっ…」


板野「…でも…」


梅田「…どうしたの?」


板野「…さっき秋元さんが言った通り…宗さんは世界レベル…
   可能なら全員見た方が良いよ…得る物は大きいはず…」


戸賀崎「その通りだ…ちなみに"全員で見なさい"との事だぞ」


全員「戸賀崎さん!?」


戸賀崎「ただまあ…死人までは行かんだろうが…明日の仕事に差し支えても困るので
    客席内に冷たい物の持ち込みを許可する…のぼせそうになったら使え…」


宮澤「…非常に助かる…アイスパック持ち込んで聞こう…」


大島「みいちゃん〜ゆいちゃん〜」




優子が2人を起す…




峯岸「…あれ?」


横山「…ここは?」




大島「しっかり舞台上だよ!宗さんの歌で気絶したの」



峯岸「…宗さん…破壊力あり過ぎ…」


横山「半分くらいから記憶が無い…」


戸賀崎「さて2人も起きた事だし取り合えず公演が先だ…準備を開始しろ!」


チームK「はい!」


指原「私等は再び呼吸法の練習だね」


北原「そうだね〜行こう」




元気の良い掛け声と共にメンバー達は走っていった




戸賀崎「とは言ったものの…多分気絶者は出るな…
    スタッフにアイスパックの追加を頼んで置かなければ…」




戸賀崎さんは溜息をつきながらその場を後にした…

 
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