D I N O

□コイビト(ヒバディノ)
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「遅い。」
「何がですか?」
「僕の保護者。」
「…い…委員長、今日は親御さんがいらっしゃるんですか?!」




体育祭当日。

雲雀はろくに競技にも参加せず、ずっと保護者受付を眺めていた。
通常は体育祭にこんなものは設置しないのだが、今日は『地域交流のデータに使う』という名目で風紀委員が特別に作った。

だが狙いのイタリア人はまだ到着していない。


そのせいか草壁の言葉もしっかり耳には入ってこなかった。

と、痺れをきらしていたころ、部下の一人が慌てたように雲雀の前に走ってきた。



「委員長!先ほどおっしゃっていたイタリアの方が見えました。」
「やっと来た…草壁、この後の予定は打ち合わせ通りだから。」
「はい。」
「僕は客人のところに行って来るよ。」



長い制服を翻し、雲雀は客が待つ風紀委員席に向かった。
金髪のイタリア人が来たらそこに案内するように言ってあったからだ。

全ては雲雀の計算の内だった。
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