STAY_

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「あんたがそんな物持っている訳ない!どうせハッタリでしょ!?」


ヒステリックに怒鳴った朋恵に芳朋は笑みを濃くしながらカメラを掲げた。


「この高性能カメラは…原口嬢の提供でお送りしました」

「芳朋、空気読み…」


テレビの提供読みのような口調で言い放った芳朋に忍足は脱力。


「少し笑いを取り入れようかと思って」

「いらんわ」

「チェッ…。ま、と言う訳。お分かり?」

「俺達をハメたのか…」

「クソクソッ!きたねぇな!!」

「最低ですね」

「汚いとか最低なんてお前達に言われたく無いね。正義のヒーローぶって一人の女によってたかって暴力かよ」

「この女は朋恵をまた殴ったんだぞ!?」


噛み付くように言い放った向日に芳朋は鼻で笑う。


「自分の信じる事を信じて疑わない?結構なこった。
でもな。盲目的に並べられた事だけを信じて、その道が間違っているとも気付かないのはただの馬鹿だ」


今にも飛び掛らんとする向日を止めたのは跡部。至極落ち着いた様子で芳朋と対峙している。


「そのデータをどうするつもりだ」

「どうしようかな?どうして欲しい?」

「おちょくってんのか?」

「うん」

「てめぇ…」


青筋を浮かべる跡部に、芳朋は楽しんでいるかのようにクツクツと笑う。
バカにされているような感覚に跡部は奥歯を噛み締めた。


「ま、どうするかは楽しみにしててよ。
あ、そうだ。最後にひとつだけ」


それまで浮かべていた余裕そうな笑みを消し、真剣な表情で跡部、向日、鳳、朋恵を順に視線を向けていく。


「また宮坂に何かしたら許さないから。もし、変な動きをしたら…分かってるよな?」






【第30話 終】
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