幸村サンちの事情_
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「分かってるよね?
姉さん?」
精市が普段呼ばない"姉さん"と呼ぶ時は怒ってる時だ。
ヤバイ…これはヤバイ。本気でヤバイ。
弦一郎と柳生に助けてと視線を投げたけど顔を逸らされた。やっぱり裏切り者だ!
「何を考えてるの?今は俺と話してるんだよ?」
「ゴメンナサイ」
「サボるなってこの間言ったよね?」
「はい…」
「じゃあ、今日の5限目は何をしてたの?」
今、サボったのがバレて屋上で説教をされている。正座をさせられて。
「お昼食べてあまりに天気が良かったから寝てました」
「天気のせいなの?」
「自分のせいデス…」
笑顔且つ優しい口調でとつとつと言うのが堪らなく怖いんだよぅ。お姉ちゃんはそんな怖い子に育てた覚えはないよ!
「あ〜、居た居た」
「揃って何してるんだよ」
「市香が精市に説教をされている確率100%」
先に姿を見せたジャッカル、丸井、柳よりも最後に現れたモジャ毛に救いの神を見た。
「赤也!助けて!精市が怖すぎる!!」
「ええ!?無理っスよ!!」
この構図に状況を一瞬で理解したらしく、隠れるように柳の背中にまわりよった。
「隠れるな!赤也も一緒に寝てたじゃん!」
「あ!バラさないでくださいよ!!」
ゴメン!赤也!分散されれば恐怖も和らぐ…と思うから。
「へぇ…そうなのかい?赤也」
「は、はい…」
結局赤也も正座をさせられて一緒に精市に怒られた訳だけど、全然怖さは分散されなかった…。寧ろ倍増し、土下座の勢いで頭を下げて許してもらった。
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