04/15の日記
22:18
重ならない影1(蛙軍曹:ゾル→ゼロ?)
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いつも通り幼年訓練所に行き、自分の教室に入って自分の席につくとゾルルはふぅと静かに溜め息をついた。
まだ始業前のこの時間…朝休みは皆グランドか教室で遊んでいる。
「(羨ましくなんかない)」
しかし、やはり例外も居るわけで…それがゾルルだった。
「(早く授業始まらないかな)」
頬杖をつきながらぼんやりと時計を穴が空くのではと思うほど見つめた。
暫くしてキンコーンカンコーンと、始業のチャイムが鳴ると騒がしかった教室は段々と静かに鳴っていく。チャイムが鳴り終る頃には数瞬前の騒がしさが嘘だったかのように皆静かに席に着いていた。
「あー…今日は皆に新しい友達を紹介する」
普段通り教室に入ってきた担任が普段とは違う言葉を吐く。その言葉にザワザワとまた教室が騒がしくなった。
「ほら、入って来なさい」
「は、はい…」
教室に入って来るように促す担任に転校生は震える声で返し、教室に入ろうとする。空色の身体がゾルルの目に映った。
転校生に興味など無い、そう思って居眠りをしようと俯せになろうとした所でやっと教室に入って来た転校生と目が合った。
「きょ、今日から転校してきた…ゼ、ゼロロ、です……よろしくお願い……します」
「…!」
蚊の鳴くような声で自己紹介をする転校生…ゼロロ。体色より幾分か薄い空色の瞳とゾルルの赤い瞳がぶつかった。
ゾルルには直ぐに分かった。
ああ、コイツは自分と一緒なのだと。
周りに自分を見て欲しくて必死で頑張っても存在を認識されない人種なのだと。
ゼロロの存在感の無さは、ゾルルの感じたとおりの人種だった。
珍しい転校生だということで初日の数時間はちやほやされたが昼休みになる頃には誰もゼロロに声を掛けようともしていなかった。
昼休みの今…教室には図らずもゾルルとゼロロは二人きりだった。晴天だからか今日は皆グランドで遊んでいる。ゼロロは窓からグランドを覗いているようだった。ゾルルはというと、席を動かず頬杖をつきながら虚空を見ていた。
お互いにお互いを認識していなかった。二人…仮にも人がいるというのに、教室にはまるで何も存在していないような空気が流れていた。音もなければ気配すらなかった。
-To be continue…-
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