novel
□不器用
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俺の大切な人がしんだ
この世界に入り、何回も人の死を見てきたけど、
こんなに切なくなるのは初めてだった
俺はまだ餓鬼だから自分のことしか考えられなくて、
この目の前の人が一番辛いのを知っているのに知らない素振りをした
なんでこの人は人の幸せを勝手に決めて勝手に一人で抱え込むのだろう
器用なくせにそうゆうところで不器用なこの人は
心の糸をゆるむ場所を見つけることができない
ならば俺が心の糸をゆるむ場所になってあげよう、
そう思った
こんな俺ができることはそれしかないから
俺があの人を気にくわないと思ったのは、
俺の心をあの人が占領してくるから
俺があの人に憎まれ口を言ったのは、
この想いに気付きたくなかったから
俺があの人にちょっかいをだすのは、
少しでも多く、自分のことを考えてほしいから
そして俺があの人の心の糸をゆるむ場所になりたいのは、
あの人にとって俺が特別な存在になりたかったから
そう、
結局は自分のためなんだ