novel
□歌恋
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音楽と言えば落語しか聞かなかった
だが今、ある1人のアーティストにはまってる
素直になれないもどがゆさとか、切なさとかがすごく俺に似ていると思ったから
共感してしまったから
イヤホンを通してそれを聞く
すると土方さんが部屋に入ってきて
「また落語きいてんのか?どんだけ好きなんだよ」
と、呆れながら言ってきた
「落語じゃねぃ、ちゃんとした曲でさぁ」
「あっそ、じゃぁ聞かせろ」
そう言うと土方さんは俺の耳の片方のイヤホンと取った
「うわー、自分勝手、まぢありえねー」
「うっせー、勝手に言ってろ」
耳と耳がイヤホンでつながっているからか、距離が近い
土方さんのほうをチラッとみるとまじめな横顔で、すごくドキッとした
一曲目が終わり、土方さんはイヤホンをはずし、俺に渡してきた
少しキュンと切なくなった
「じゃぁ、俺もう行くわ」
「あ、へぃ… 」
不覚にも行かないで、と思ってしまう
「あ、総悟、ちょっと耳かせ」
仕方ないフリをして土方さんに耳を近づける
そして土方さんがつぶやいた言葉
「お前の気持ちはちゃんと届いてるよ」
それはさっき聞いた曲の歌詞の一部
『素直になれない僕の気持ちはアナタに届いていますか?』
の問いの答え
―end―
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後書き