novel


□歌恋
2ページ/3ページ

音楽と言えば落語しか聞かなかった


だが今、ある1人のアーティストにはまってる

素直になれないもどがゆさとか、切なさとかがすごく俺に似ていると思ったから


共感してしまったから


イヤホンを通してそれを聞く


すると土方さんが部屋に入ってきて


「また落語きいてんのか?どんだけ好きなんだよ」


と、呆れながら言ってきた


「落語じゃねぃ、ちゃんとした曲でさぁ」


「あっそ、じゃぁ聞かせろ」

そう言うと土方さんは俺の耳の片方のイヤホンと取った


「うわー、自分勝手、まぢありえねー」


「うっせー、勝手に言ってろ」


耳と耳がイヤホンでつながっているからか、距離が近い


土方さんのほうをチラッとみるとまじめな横顔で、すごくドキッとした


一曲目が終わり、土方さんはイヤホンをはずし、俺に渡してきた


少しキュンと切なくなった


「じゃぁ、俺もう行くわ」


「あ、へぃ… 」


不覚にも行かないで、と思ってしまう


「あ、総悟、ちょっと耳かせ」


仕方ないフリをして土方さんに耳を近づける


そして土方さんがつぶやいた言葉


「お前の気持ちはちゃんと届いてるよ」


それはさっき聞いた曲の歌詞の一部


『素直になれない僕の気持ちはアナタに届いていますか?』



の問いの答え




―end―

nexstページ

後書き


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ