novel
□本気なら
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「ゴロゴロしてないで掃除くらいしてください!!!」
「えー、だってめんどい」
「アンタが汚くしたんでしょーが!!!」
昨日キレイに掃除したはずの部屋が汚くなっていて、僕は呆れながらそれをまた片付ける
ソファーでゴロゴロしながらジャンプを読んでるこの人は、もう20を過ぎているくせに精神年齢は明らかに幼い
でも、いざと言う時は助けてくれて、頼りになって、優しくて、そんなこの人を俺は好きになった
そんなことを思いながら床に散らばっている本や服を拾う
すると急に後ろから抱きしめられた
「え?!」
ビックリして、その衝動で手に持っていたものを落としてしまった
「ちょ!!!銀さん、何するんですか?!」
顔が赤くなるのが自分でも分かった
「…新八、好きって言えよ」
いきなりの言葉に混乱する
「何言ってんですか?いきなり…」
「だってお前俺に好きっていってくれねーし…」
「…」
そう言われ改めて気付かされた
確かに僕は銀さんに『好き』と言った事は一度もない
「もしかして本気で好きなんかじゃねーのかな、って不安なんだよ…」
悲しそうな、泣きそうな顔でそう言う
その言葉で、その表情で一気に胸が切なくなった
本気で好きじゃなかったらこんなに切なくならない
本気で好きじゃなかったらこんなに愛しくならない
「す…き、ですよ///」
そう言うとこの人は僕が大好きな笑顔に戻った
―end―
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あとがき