ライドウ長編2

□葛葉ライ子の目眩
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「…えっと…私はどうしたらいいのかな?」

「…とりあえず、探偵社まで帰るか。」

二人で戸惑いながらも、探偵社に帰ることにした。"黒ずくめの男"を引きずりながら。

何でこうなったかと言うと、時間は少し遡る。

私とヨシツネは見回りをしていた。
帝都に来て必ずやっている。日課である。

見回りをしていると、前からドタドタと走ってくる女性が見えた。

「ライ子ちゃーーーーん!!!」

「!!!!????」

まさか、私の名前を大声で叫ぶとは思っておらず、驚いていた。

そして、一気に注目の的になる。

「ちょっと…恥ずかしいんだけどな………」

私は、周囲の視線を一身に受けながら、その女性の話を聞いた。

なんでも、男性が倒れているらしいのだ。

私は、早急に手を打つべく駆け出した。

まぁ、あの場から逃げ出したいというのも、一理あるが…




「只今戻りました…」

私が帰ってくるやいなや所長、鳴海さんは嬉しそうに

「お帰りー」

と駆け寄ってくる。そして、私が引き摺ってきたものに気づいた。

「ラ…ライ子ちゃん…これ…何?」

「あっ…え、えーと、」

「…雷堂!?」

そう叫んだのは、ライドウだった。

顔を覗きこんでみると、ライドウに瓜二つだ。そっくり所ではない。同じなのだ。

しかし、二人には大きな違いがある。

傷だ。

ライドウの方には無く、雷堂と呼ばれた書生の方にはある。

彼らは一体何者なんだろうか?

『異次元の我らといったところか…』

私の後ろから声が飛んできた。

「ゴウト…」

何時からか姿が見えなかったゴウトがそこにいた。

「そうだろ?葛葉ライドウ、葛葉雷堂。」

いつの間にか、引き摺っていた雷堂は、立っていた。

二人は、コクリと頷く。

鳴海さんは、分かっておらず、

「え、ちょっと置いていかないでよ!分かんないだけど!!」

と一人で叫んでいた。






あぁ、何だか目眩がする。

疲れたのだろう。今日はいろんな事がありすぎた。

どうして、嫌な事はこうも重なるのだろう。

何かみんなが言っているが聞こえない。

ちょっと休ませて。

私は、心の中で呟いて、意識を手放した。
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