ライドウ長編

□ライドウ君と私7
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夜。

私は、布団の中にいるゴウトちゃんの暖かさもあって、ウトウトしかけていた。

眠りに落ちかけた瞬間、私は誰かに抱きつかれた。
視界には所長のモジャモジャ頭が入った。

「鳴海さん。」

私に抱きついているだろう人の名前を呼んだ。

「むにゃむにゃ…。」

寝ぼけているのか、寝言を言っている。

「ちょっと、鳴海さん。離れて下さい。」

私は、腕から逃れようと動きながら言った。

「やだ…。」

鳴海さんは言葉が聞こえているのか、私の問いに答えた。

「何でですか?」

私は聞こえているのか分からないが、鳴海さんに尋ねた。

「名無しちゃん…。好き。」

鳴海さんが起きているのかと思って、私は顔を覗いた。

しかし、鳴海さんは気持ち良さそうに眠っていた。

「ゴウトちゃん。」

私はゴウトちゃんに助けを求めた。

『ん?どうした?名無し。って何で鳴海がくっついているのだ!』

ゴウトちゃんは少し怒っていた。

「ゴウトちゃん、助けて。」

私はゴウトちゃんを見つめた。

『今、助けてやる。』

そういって、ゴウトちゃんは何の躊躇いもなく鳴海さんの腕に爪を立てた。

鳴海さんは何も言わず、腕を押さえて、自分の布団に転がっていった。

「ありがとう。ゴウトちゃん。」

私はゴウトちゃんにお礼を言って、布団に潜った。

頭の中では、さっきの鳴海さんの

『好き。』

が響いて仕方がない。

「明日、鳴海さんにどういう顔をすればいいのだろう」

そう心の中で呟いた。

私は混乱しながらも、夢の世界へ落ちていった。
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