ライドウ
□貴女しか…。
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貴女のその手
貴女の足
貴女の顔
全てが愛しい。
俺はベッドに寝転がって名無しさんの顔を思い浮かべていた。
彼女しかいらないと思ってしまう、自分に帝都が護れるか不安だった。
名無しさんさえいれば襲名したライドウの名前さえ、いらないと思ってしまう自分が怖かった。
「ゴウト。俺に帝都は護れますか?」
自分のお目付け役の黒猫に尋ねた。
ゴウトは少し考えて
「紡はどうしたい?」
俺にそう尋ねた。
俺は…
名無しさんが住む帝都を護りたい。
彼女の笑顔も
涙も
全て。
「帝都は俺が護ります。」
そう言って立ち上がった。
全て護ってやる。
帝都も、
鳴海探偵社も
そして、名無しさんも。
命を懸けて。