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□愛のかたち
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**それから**

儚い人だった

まるでひと時の夢幻のように


あのお方がいなくなられてから我が主はめっきり心を憔悴なさってしまった。無理はない、あんなに心から愛していた人を失ったのだ。何の予兆もなく失ってしまったのだ。

「我が主。お気持ちは察しますが、このままだとあなたが壊れてしまいます」

「………わかってる。わかってるんだよ。…でもな、俺は自分自身が許せねぇ」

俺のほうは見ずに、主は曇り空をじっと見ている。その隣にはいつもあの人がいたのに今はいない。

「俺は自分が許せねえし、あいつが一人で闇に消えるのも許さねえ。だから、俺はあいつを探す。何百年、何千年経とうがあいつを探す。それが俺の最後の望みだ」

「我が主…」

ああ、だから俺はこの人についてきたんだ。

俺も同じ立場だったらきっと、

「さあ、行くぜ。時間はねえ」



きっと主はあの人を取り戻すだろう。

その時、俺は側にいて祝福するのだ。

それまで俺達は長い長い時を過ごすのだ、けれど主とならきっと……







**失い人**

大切な親友を失った

誰よりも大切だった


「だからさー、これからも一緒にいて将来、一緒に暮らそうよ」

「いいね、絶対うまくいくよ。野菜はみんなうちらの有機栽培で作ったやつね」

「だよね!二人で一緒に晴耕雨読な生活しようよ」

「約束だよ!」

「うん、絶対約束する!」



懐かしい夢だった。
高校時代、入学始めに親友と約束した夢をみた。叶えられることはなかった。

最高に気が合って何でも話せてこれ以上ないってほど仲が良かった。

けれど、私があの子の笑顔を見ることは永遠に叶わないだろう。

悲しいけれど、そうしたのは自分だ。

悔やんだって仕方がない。

またいつの日か懐かしい夢を見て悲しい気持ちになる日が来るだろう。

その時は泣いて悲しんで沈めばいい。そしてまた前に進めばいい。

ああ、

でも叶うことがあるならば、

もう一度……




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