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□Sleeping Beauty
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目を覚ますと彼は眠っていた。
とても安らかな眠りに見えた。
胸元に耳をあてる。
音はなかった。
身体も冷たく、硬直し始めていた。窓の外、太陽は明るく照っていた。

世界は相変わらず続いてる。でも、今月野といるこの空間だけは止まっているように感じた。

そっと月野の顔を撫でる。
冷たかった。抱き合ってた時は暖かかったのに。

さよなら、小さく呟いてキスをした。








彼と出会ってあれから5年が経った。
俺は彼の最後の言葉通り、運命と呼べる素敵な女性に出会い、結婚した。


今思えば、俺は彼とことをよく知らなかった。そして俺自身のことも彼にあまり話していなかったと思う。


たったの1年。
それが彼と過ごした時間。なのに、彼は一生俺の心に刻みつけるくらいの傷を残していった。
幻だったのかそれとも夢だったのか。たまにそう思うことがある。けれど、この心に残る傷がそうではないと教えてくれる。


正直、眠り姫の一族にはもう出会いたくない。


こんな悲しい想いをしたくないし、何より彼のはかなく優しい笑顔を思い出し胸が痛くなるから。





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