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□Are you happy?
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森の中の教会。
鐘が鳴っている。
人々の祝福の声。

神父の、永遠を誓いますか?という言葉。

誓います、と答えた愛してる人の声。

そして、俺も緊張しながら誓います、と答える。

誓いのキス。
軽く触れるだけのキス。

そっと目を開け、ふと愛してる人の小指を見る。

赤い糸があり、そしてそれは俺に繋がっている。

今日の君はいつもより綺麗だ。

ああ、やっぱり俺達は運命なのだ。

人々は祝福の言葉を言い、色鮮やかな花を投げている。

ありがとう、と口々に言い、俺は愛してる人の腕を取り前に進んで行く。







目覚ましが鳴る。
うるさいから早く止め、起きた。

結婚をする夢を見た。
幸せな夢だった。
相手はもちろん、今一緒に暮らしている人だ。
男だけど。

ああ、やっぱり運命だったのだ。

「ねえ、朝ごはん、パンにする?ご飯にする?」

のんびりと恋人の声がする。キリスト教の結婚式だったからパンにしよう。

「パンにするー」

俺も続けてのんびりと答える。


二人がけのテーブルに座り、トーストにバターを塗る。
恋人はピーナッツバターを薄く塗っていた。

「ねえ、優衣。」

「何?」

「結婚しよう」

「え?」

「結婚、しよう」

「急にどうしたの?結婚って日本じゃ無理だよ」

「そんなの関係ない。俺は今日夢を見たの、優衣と結婚する夢」

「夢って…」

「夢では優衣も幸せそうだったし、永遠を誓うって約束した」

「夢の話しじゃん」

「で、俺と結婚するのしないの?」

「……します」

とんとん拍子に話しは進んで行く。

「でも、日本じゃ結婚できないよ」

「うん、結婚式場で働いてる知り合いがいるから頼んだら二人だけで出来ると思うんだ」

「…本当に、本当に結婚式挙げられるの?」

「そんなに優衣に涙目で見つめられると俺盛っちゃうよ」

優衣が奮えて涙目で俺を見つめる。そっと抱き寄せ、耳元で囁く。

「ちょ、やだって、朝から盛らないでよ」

「俺、優衣のせいで盛っちゃった。責任取ってよ」

優衣の手を掴み自分の中心へ持っていく。
優衣の指がそろりと俺の中心を触る。

「優衣だってやる気満々じゃん」

「りゅうのせいだよ」

どうせ今日は土曜日。
朝から張り切ったって構いやしない。
俺達は若いから相手がその気になり自分もその気になればいくらだって出来る。



「あ、そこ、だめっ」

「どうして?ここは喜んでるのに?」

優衣の自身を触り、思い切り腰を打ち付ける。

「あっ!やっ、ちょ、本当に、だめっ」

「無理、止まんない」

優衣はさっきから小刻みに痙攣している。イキっぱなしなのだろう。内股が震えつま先が丸まっている。

「りゅう、琉弥っ、手、つなっ、」

「うん、手、繋ごうか」

恋人繋ぎにし、優衣の手の甲にキスをする。続いて顔、首、うなじ、胸、体の至る所にキスをする。
俺は優衣が好きだ。
夢を見たから結婚したいとただ思ったわけじゃない。

一際強く腰を打ち付けると優衣はびくんと大きく痙攣してイッた。
俺も締め付けに耐えられずにイッた。

「ね、優衣、このまま寝ちゃおう」

優衣を抱きしめそのまま倒れ込む。わずかに優衣が身じろいだけれど構わずに強く抱きしめた。

「や、だって、繋がったままじゃん。恥ずかしいよ」

「いいよ、寝よう」

繋がったままだけど気にしない。








「でさ、俺、結婚式挙げたいなって」

「ふぅん、でも、お前の恋人男だろ」

俺は今、幼なじみと話していた。幼なじみのこいつ、小木は結婚式場に勤めている。

「うん、名前も顔も女の子みたいだけど、ちゃんとついてるし男だよ」

「ああ、優衣ちゃんか。あの子、男だけど俺もヤれそうな気がする」

「とるなよ、俺のなんだから」

「とらねーよ、俺もかわいい恋人いるし。で、お前の考えはどんなの?」

相変わらず俺達は軽口を叩きあっている。幼なじみの俺達はいつもこんなだ。

「そうそう、簡潔に言うけど結婚式挙げられる?披露宴もいらないし、神父の誓いの言葉もいらないし、親族も呼ばない。本当に二人だけで挙げたいんだ」

「まあ、そういう結婚式なら男二人だけでも挙げられるな」

「マジで?いいの?」

「ああ、俺が上手くやっとくよ。時間もかからないと思うから開いた時間の所でやればいいだろ?あとはしっかり金払ってくれればいい」

「わかった、衣装とかはまたすぐ優衣と来た時に決めればいいか?」

「ああ、日時はまたすぐ俺から連絡する」

「了解」

小木はすぐ今週結婚するカップルと打ち合わせがあるからすぐに去っていった。
小木は男の俺から見ても凄くイイ男だ。学生時代は女の子をきゃあきゃあ言わせていたけれど、あいつの中身はなかなかの堅物だったから、本当に好きになった女の子としか付き合わなかった。もちろん、自分から告白した子にだ。
学生時代から俺は男と付き合っていた。俺は俺で楽しかったし、良い友人に囲まれていた。
それから、大学生になって優衣と出会い、今に至る。社会人になっても俺達はずっと一緒にいる。
これからもずっとずっと一緒だ。









「ということで、優衣、結婚式挙げるよ」

「え?あの話マジだったの?」

「もちろん、今日結婚式場に勤めてる幼なじみに話をつけてきたよ」

「だって、男二人で?」

「うん、いいって。そのかわり俺達だけの結婚式なんだけど、いいかな?」

「……うん、二人だけでいい。ヤバい、俺、嬉しくて泣きそう」

優衣は少しうるっとした目で俺を見る。

「優衣、俺は君が好きなんだ。ただ夢で見たから結婚しようって思ったんじゃない、本当に本当に優衣が好きなんだ。俺は君とずっと一緒にいたい。俺達は男だけど、出来ることなら俺は優衣との子供がほしい。それくらい好きなんだ。だから、俺と結婚して下さい」

俺は一世一代のプロポーズをした。心臓ばくばく。

そっと優衣の手をとり、用意していた結婚指輪を優衣の薬指にはめ、そっとキスをする。
あとは返事を待つだけ。

「…………はい。俺も琉弥と結婚したいです」

返事は、


もちろん、Yesだ。










細い綺麗な優衣の指に結婚指輪をはめる。
その手をとり俺は優しくそこにキスをする。
お互い何も言わずに見つめあう。

そっと優衣を抱きしめ、キスをする。

俺達の結婚式はたったこれだけだ。
最近できた森の中の結婚式場の教会で二人で式を挙げた。

入り口のほうから拍手が聞こえてきた。

「おめでとう、琉弥、優衣ちゃん」

小木だった。小木は俺達のためにきちんと正装してきてくれたのだ。

「ありがとうございます、小木さん」

「来てくれたんだ」

「当たり前だろ、幼なじみで親友の結婚式に普通は行くだろ」

今、この森の中の教会にいるのはたった俺達三人だけだ。でも、俺は幸せだ。好きな人と結婚できて、親友に祝われて。

「で、二人はこれからどうすんの?結婚したのに変わらない毎日を送るの?」

「もうちょっと広い場所に引っ越そうかなって、もっと緑がいっぱいなとこ」

「へえ、いいな。引っ越したらすぐに俺を呼べよな」

「わかってるよ」

「ね、りゅう、新婚旅行行くんでしょ?」

「行くよ、どこがいい?優衣の好きな所でいいよ」

「甘いね、新婚カップルは」

「いいだろー、お前も早く結婚しろよ。あの子と結婚するんだろ」

「まあな。あ、今二人の小指に赤い糸が見えた。マジで」

「マジで?!」

「本当ですか?!」

「マジで。きっと二人はこれからもずっと上手くやっていけるよ、改めて言うけど結婚おめでとう、幸せに」

「ありがとう」

「ありがとうございます」








きっと俺達はこれからもずっと上手くやっていけると思う。

何があっても、この幸せな日と赤い糸を信じて頑張れる。

優衣と二人なら。





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