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□wedding
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「俺さ、結婚するんだ」

行為が終わった後二人でベッドに潜っているとき、彼は当たり前のようにさらりと言った。

え?
なんで、いきなり?
だって、

「来月、お前も来てくれるよな?」

笑顔が眩しい。
俺は目の前が真っ暗になる。
ただ、何も言えずに静かに頷いた。


だって、だって、
俺はお前のこと、ずっと好きだったのに。






いつからだろう。
いつから彼と寝るようになったのだろう。
高校2年の時に同じクラスになり、それからずっとつるんでいる。
大学も同じ、ずっと一緒だった。

ある日、成り行きで俺達はセックスした。
愛のない、ただ欲望を静めるセックス。
それでもよかった、嬉しかった。

でも、彼の心は手に入れられなかった。どんなに願ったことだろう。彼の心が手に入れられたら、どんなに幸せだったのだろう。
結局、彼の心を手に入れたのは俺の知らない見ず知らずの女性。わかってる、女性には勝てないことを。
でも、それでも悲しかった。俺を抱いたあと、彼女をその身体で抱いたのかと思い切なくなった。



俺の片思いの恋は終わりを告げた。








華やかで厳かな教会。
永遠を誓いあっている新郎新婦。
幸せそうな二人。たくさんの人に祝福されて幸せそうな二人。

綺麗な人だった。
瞳が大きくて黒髪の笑顔が素敵な女性だった。

彼が彼女に笑いかける。
俺には、そんな笑顔をくれなかった。その笑顔は俺がずっと欲しかったもの。
恋人同士の甘く、柔らかな笑顔、雰囲気。ずっと夢見てた。



「おめでとう」

「ありがとう、来てくれたのか」

「うん。綺麗な人だね」

「ああ、俺の運命の人なんだ」

照れ臭そうに笑う。幸せそのものだった。

「…本当におめでとう、幸せにね」

「ありがとう、お前も早く運命の人見つけろよな」

彼は別の友達に呼ばれ去っていった。



俺は臆病者だから、彼の幸せを壊すなんてことはできない。彼に気持ちを伝えることなんてできない。彼女を恨んで嫉妬もしていない。


本当に、本当に彼が好きで大切だから。


彼が彼女と永遠に幸せであることを祈っている。

たとえそれが寂しくて辛くても、彼が幸せなのを永遠に思い続けるだろう。



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