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□Liar
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あなたはいつも乱暴に俺を抱く。
行為のあといつも、愛してると囁く。
なのに俺の体を好き勝手にしたあとはいつも適当に捨てる。
こんな関係がもう2年も続いている。もちろん、あの人に恋人がいることも知っているし俺にも恋人がいる。
これはただのセックスフレンドだ。
前はあの人のことが好きだった。でも今はもう好きじゃない。
好きだったから抱かれた。嬉しかった。けれど今はただただ嫌悪している。
今、あの人に抱かれてもあまり勃たなくなった。生理現象で緩く勃ち上るそれだけになってしまった。
恋人を作った理由は、もし俺に恋人が出来たらあの人は振り向いてくれるかもしれない、そんな淡い期待を抱いて恋人を作った。
でもあの人は振り向いてはくれなかった。
むしろ、俺は何となく作った恋人といるうちに癒され愛すようになった。
恋人も俺のことを大切にしてくれ愛してくれた。
好きな人から本当に愛される喜びを知ってしまったのだ。
だからもうあの人とはできない。セックスフレンドなんて関係ではいられない。
それに、このままずるずる続けているとあの人の恋人が可哀相だ。一度だけ見たことがある。すごく綺麗ではかない女性。正直彼女に申し訳なかった。
「や、んっ、激しっ、」
「まだ大丈夫だろ…?」
がつがつ腰を打ち付けられる。正直、もう腰が痛かった。
「も、駄目、だって、やあ、」
体位を変えられより深くなる。もうやめたい。俺の優しい恋人の顔が浮かぶ。
「なんだよ、今日は上の空、だな」
息が上がった声。この声、好きだった。今もちょっとだけど好きかも。
「そんなこと、あっ、ちょ、そこ、やあっ」
俺の弱いところを攻め、一緒に性器も激しく扱く。
「あっ、イクっ、駄目っ、」
つま先が突っ張り体ががくがく震える。とまらない。
「俺もっ、やばい、」
彼の動きが止まり、ぶるりと震えた。セックスのときはいつもゴムをつけている。
荒い息。しなやかな男らしい体。綺麗な顔。全部好きだった。
でも、もう、
「ねえ、終わりにしよう」
彼がふりかえる。驚いた顔。
「もう、続けるなんて無理だよ」
「…潮時か。お前がそうしたいならいいよ」
俺達には何もなかった。ただ、セックスするだけの関係。
「このまま続けると彼女が可哀相だ、それに俺も、」
「わかってる。そうだよな、あいつが可哀相だよな。それに、お前も」
俺は服を身につけ帰る支度をする。
きっと最後まで彼は嘘つきだ。
「でもさ」
ぐいと腕を引っ張られ彼に抱きしめられる。
「俺お前のこと、」
愛してるよ
耳元で囁かれる。
やっぱり、嘘つきだ。
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