僕等の出会い

□僕等の出会い*夏の出会い*
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カラン カラン

『いらしゃいませ!』



いつもと変わらない喫茶店。



扉を開ければ鐘が心地よく耳に入り
店員さんの声が私達を迎えてくれる。
猛暑と云われる夏には一番居心地の良い
場所かも知れない。




世話好きの友人は案内されたテーブルには
向かわず2つの水を汲みに行った。
私はそのまま案内されたテーブルに座り
窓の外を見る。
外では何処かに向かうのか、それとも帰って来たのか
普段より車を多く見かける。

「はいサナ、おみずぅ〜。」
「なに?そのやる気の無い喋り方。」
「だって!!暑いじゃんっ!!!」

私は、友人のやる気の無い声に笑いながら
ホント、暑いね。と相槌をうつ。

「で、話しって何?」
「そうね、スズが入院してたとき私、お見舞いに
行ったよね?」
「ああ!2,3年前の事ね。それがどうしたの?」

後ろの座席に座ってるのだろうか、数人の
青年達の笑い声を耳にしながらあの日の事を
思い出す。



「スズが入院していた時の話しなんだけど、
これは私も夢なのか現実なのか良く分らないの。
でも、最後まで聞いて?」
「・・・・ふ〜ん。面白い話しならいいよ♪♪」

そう云いつつもスズは何時も真剣に聞いてくれる。
だから話そう、たとえ笑われてもいい。
ただあの出来事をあのままにはしたくない。


私は少し身を乗り出して口を開く。



「そうね、あの日も今日と同じ様に暑かった日
だったわ。」






そう、あれは今日の様に暑い日の話し。



もう、あの時から始まってたのかもしれない。





彼と私の・・・・物語が。

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