□掌中の温もり
1ページ/6ページ

まただ。



また…












病院のベットに寝ているアルフォンスを見つめ、拳に力が入る。














また…俺のせいで……



















ガチャ。




「エドワードさん、先生がお呼びです。」





看護師から呼ばれ、病室を後にする。


病院独特の匂いに包まれた廊下を歩いていると、近くの病室から すすり泣く声が聞こえた


ドアの隙間から遺族とみられる人達が見え、すぐに視線を戻す













胸が痛い。











今の俺に、直視できる光景ではなかった。














「エドワードさん、こちらです。」







言われるまま医者の前の椅子に腰掛けると身体中がズキッと痛む






「っつ…」




「大丈夫ですか?弟さんも大事でしょうが、ご自身の事もきちんと…」

「いいんだ。」





「で、アルの検査結果は?」







さっきから心臓がバクバクしてる

さっき見た光景とアルとがダブり、最悪の結果を想像してしまう。










お願いだから






生きてるだけでいい。




俺の体がボロボロになってもいい






アルに怒られようが、命だってくれてやる。





だから







だから、アルを連れて行かないでくれ。






俺の大切な家族を










俺の大事な心を






持っていかないでくれ





どうか…










.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ