文
□掌中の温もり
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は?
何言ってんの こいつ。
頭ん中が真っ白になる
「更に」
聞きたくない
「感情も失ってしまった可能性が…。」
……今、何つった?
頭がうまく働かない。
言ってることが理解できない。
「ハハ…からかってんの?」
そんなことするわけないってのは、解ってた。
けど、こう言うのが精一杯だった。
「失ったといっても“完全に”というわけではありません。何かの拍子で思い出すこともあるかもしれません」
「ただ、その可能性は………低いです。」
言いにくそうに俯きながら話す医者の顔を見て、段々と理解する。
じわじわと医者の言葉がしみわたり、沢山の感情が交差する
大きな後悔と一緒に。
「まじ…かよっ……」
静かな部屋の中
膝の上で握った拳に
滴がぽつりと落ちた。
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