novelB
□Dr,
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苦しい
胸が
とても苦しいよ。
「ローは名医?」
「当たり前だろう。」
「じゃあ何故、この胸の苦しみは治せないのかしら。」
「そいつは不治の病でな。どれだけ凄い名医でも治せやしない。医療大国ドラム然り、ドクターくれは然り。」
「そう。私は治し方を知ってるわ。とても簡単な事なのにローにはわからなのね。」
知ってるくせに。
逃げ方が上手いのは、女の扱いに手慣れているからなんだろうか。
「治し方を知ってるなら自分で何とかするんだな。治ったら教えてくれよ、後学の為に。」
知っているくせに。
治らない事を、本当は知ってるくせに。
「……そうね。そうするわ。あんたがそれを望むのなら喜んで。」
ズキリと痛む胸をしまい込んで、私もまたずるい人間になっていく。
ねえ、Dr,トラファルガー。
治せないならせめて
少しでも苦しみを解放する薬を処方してよ。
END