novelB
□Eat me.
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「なんだこれは。」
「見てわからないの?ケーキよ。」
「なんのつもりだ。」
「愛しいローの誕生日をお祝いするために、かわいいかわいいナミちゃんがわざわざ持って来てあげたんじゃない。」
「嫌がらせか?」
「失礼ね。手間も時間もかけてそんな凝った嫌がらせをするほど私は暇じゃないの。」
「一つ聞いていいか?」
「どうぞ。」
「これを見て、お前は何も感じないのか?」
「そうね…、しいて言うなら、形がちょっといびつかもね。」
「他には?」
「まぁ…、ケーキらしい色ではないと思うけど。」
「まだあるだろ。」
「あんまりいい匂いでもないかな。でもほら、お肉とかよく焼いた方が好きな人とかいるし。焦げてるんじゃないの、よく焼いたの。匂いは仕方ないじゃない。」
「…他に言いたい事はあるか?」
「百歩譲ってまずそうに見えたとしても、見た目ほど味は悪くない事って多いのよ。大丈夫よ、生クリームもフルーツもたくさんついてるし。」
「…………。」
「愛情は誰にも負けないくらい入ってるの。この私の手作りケーキなんて10億ベリー払ったって食べれないわよ。」
「嘘をつくな。10億ベリー貰えるなら喜んで作るだろ。」
「よくわかってるじゃない。」
「………はぁ。」
「で?食べるの?食べないの?」
「……食べるよ。」
――−−‐‐‐
「おかしいわね。変なものは入れてないのに。」
「…………。」
「ロー?」
「…………。」
「やだ、顔真っ青。」
「………二度とおれにケーキを作ろうと思うな。いいか、二度とケーキは作るな。」
「……はーい。」
「………水。」
「はい、どうぞ。…………ごめんね。もっとうまく作れると思ったんだけど。」
「…………。気持ちだけ受け取っておく。これからは何もしなくていい。」
「………。」
「……お前だけいればいいと言ってるんだ。」
「ふうん。」
「どんな大層なケーキよりお前の方がうまそうだからな。」
「ふふっ。じゃあ、食べていいよ。私の事食べたいんでしょ?」
「言われなくても食べる。」
「ロー、誕生日おめでとう。」
「ああ。」
「なによ、それだけ?」
「ありがとう。」
「好きよ、大好き。」
「…ありがとう。」
「他に言う事は?」
「おれも好きだよ。」
「…………。」
「なんだ。」
「素直だなぁ、って思って。」
「おれは元々素直がウリなんだ。勿体ぶらないで早くお前を食わせろよ。」
「どうぞ。今日はフルコースね。」
「覚悟しろよ。」
「ふふっ、楽しみ!」
END