novel

□光
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強烈な光を有するそれに、なすすべもなく惹き込まれる。魅了して止まないその引力に、私は一切の抵抗もままならない。






例えその手が触れた部分に、耐え難いほどの熱を帯びたところで、私は表情を崩すわけでもなく、頭の中とは裏腹に平静を装う。






「ナミ」






その声が私の耳から脳に伝い、体中を巡り癒しを与えてる事なんて想像だにしないでしょう。







あなたの存在自体が私にとっての生きる意味だとしても。
それをあなたに伝える事は決してない。
自分から足枷をはめる程私は幼くもないし愚かでもない。







「ナミ」






名前を呼ばないで。
私に触れないで。







一歩ずつ距離が近づくたびに、私はどうしようもなく苦しくなるというのに。







「ナミ、泣くなよ。」
















いつからだった?








涙を流す事に抵抗を無くしたのは。






どんな事があっても、私は笑ってきた。そうやって強く生きなければ、足場を失って立つことさえ出来なくなる事を知っていたから。







「ナミ。」







悲しいから泣いてるんじゃない。温かい柔らかい光が私を包むから。
本当は手に入れたくて、掴みたくて、触りたくてたまらないの。







失う怖さを覚えるくらいなら、このまま傍にいるだけでいい。
何も望まないでいれば、ずっと隣で笑っていられるから。





END

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