novel

□魔法の言葉
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「ナミ、最近きれいになったんじゃない?」



朝起きぬけに、急にロビンに言われた。



「え、そう?そうかな。」



寝癖でまだ髪の毛もぐちゃぐちゃだし、顔すら洗ってない。



「ええ。本当にきれいよ。毎日とてもキラキラしてるもの。」



なんか照れくさい。



「ありがとう!なんだろう…。特別な事してないんだけどな。」



私はいつも同じ場所がはねてしまう前髪をいじくり、頭をかしげる。



そんな私を、ロビンはすごく優しい目で見ると続けてこう言った。



「それはきっと、ルフィのおかげね。」



ロビンはそう言い残して女部屋を後にする。



私は洗面台でバシャバシャと顔を洗うと鏡の中の自分を見つめた。



なにか変わったかな?



その時、ルフィが部屋に入って来た。



「ナミ!おはよう!」



「ルフィ、おはよう。どうしたの?」



「ロビンが、ナミはまだ仕度中だって言うから迎えに来た!」



ふふっ、と思わず笑みがこぼれる。
こんな事だって最高に嬉しいと感じるくらい私はルフィに恋をしている。



「ナミは今日もかわいいなー。」



ルフィはベッドに寝そべって足をばたつかせながら、着替えてる私に向かって言う。



「ありがとう。知ってるけど。」



私はペロッと舌を出す。
本当はすごく嬉しいのに、素直に受け止められないのは私の悪い癖。



「うん。かわいいぞ!!」



ルフィはいつだってストレートに物事を言う。だから信じられる。



「ナミ、好きだぞー。」



「ナミはかわいいな。」



毎日毎日、飽きもせずに私に愛を告白する。





ありがとう、と私はそれを当たり前の様に受け止める。



ふと、ロビンに言われた事を思い出す。



―――きっとルフィのおかげね。





私はルフィに近づいてぎゅうっと抱きしめた。



「ん?どうした?」



ルフィは私を抱き留めると、んー、と顔を近づけてキスをする。幸せで涙が出そう。



「今日ロビンにキレイになったって言われたの。ルフィのおかげだって。」



「おれの?なんかしたっけ?」



ルフィは眉間にしわを寄せて一生懸命考える。
それがたまらなくかわいくてルフィのほっぺに音をたててキスをした。



「…きっと、ルフィが毎日飽きもせずに好きとか、かわいいとか言ってくれるからよ。」



「飽きもせずってお前なー。」


「ふふっ、それは私にとっては魔法の言葉なんだわ。」



「魔法の?なんだそれ。不思議言葉か?」



「わかんないわよね。あんたが毎日言ってくれる言葉たちが、きっと私をキレイにしてくれるんだわ。」



ルフィはそっか、と言って笑うと続けた。



「おれはこれからも毎日、言いたくなった時に言うんだ!だってナミが好きでかわいいと思うからな!」





ルフィがくれる夢みたいな魔法の言葉。






彼の素直な言葉は私の体に染み込まれて





きっとこれからもずっと、その魔法は続いていく。





END

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