novel
□大切な時間
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「ナミ!!」
ノックというものを知らないこの男は、女部屋の扉を勢いよく開け入ってきた。
ロビンが見張りの日は、大体こうしてルフィが部屋に来る。特に約束してるわけでもないけど、いつからか決まり事の様になっていた。
それが私の一番好きな、大切な時間。
「…うまそうなクッキー!!食っていいか?」
ハートのクッキーにはチョコで《LOVE》の文字。
「ダメよ。それは私のためにサンジ君が用意してくれたの。」
なんだよケチ、ってルフィはほっぺを膨らませてる。ちょっとかわいい。
私は一つだけよ、とハートをつまみ上げると、ルフィに手渡した。
「おお、サンキュー、ナミ!!」
そんな小さな事で満面の笑み。私をドキドキさせる天才。
「もう一個欲しい?」
「欲しい!!」
「じゃあ…お手!!」
「ワンッ!!…っておれは犬じゃねー!!」
ルフィとのくだらないやりとりが、私はたまらなく愛しい。ふざけ合っているうちに、あっという間に時間が過ぎていく。