novel
□maneuver
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「ナミ!!」
「ナーミ!!」
ルフィに背後から抱きしめられたまま、私は黙々とペンを走らせる。
「……おーい、ナミさーん。聞こえてますか〜?応答せよ。」
「うるさいっ!!!」
ゴンッ、という鈍い音と共に、ルフィはその場に倒れた。
ここは測量室。ナミは大事な仕事の真っ最中だ。
今夜のうちに仕上げたいので、ナミは何時間も前から机に向かっている。
些細な物音を感じたと思ったら、次の瞬間いきなり部屋に飛び込んで来たルフィに抱きつかれたのだ。
どうやらヒマを持て余したあげく、結果ここに来たらしい。
―――今日は朝からあれほど邪魔をするな、と伝えていたのに!
「ルフィ?邪魔をしないでって伝えたはずだけど。この船にとって、私の仕事が大事な事くらいはわかるでしょ?」
ナミだって本当はルフィと一緒にいたい。だけど今日はそれどころではないのだ。
「おれはナミと遊ぶと決めたんだ!だから遊んで下さい。お願いします。」
「…丁寧に言ってもだめよ。今日はこの海図を書き上げるって決めてるの。他をあたって。」
ナミはあっちに行け、とばかりに手でシッシッと追い払う。
―――こいつを相手にしていたら、いつまでたっても仕事に戻れないわ。
―――相手にしなければ諦めてどこか行くはず…。
ナミはだんまりを決め込む事にして机に向き合うと、再びペンを握り動かしはじめた。