限りある時の中で
□限りある時の中で(文字中)
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「僕は絶対君をお嫁さんにするよ!」
小さい頃、隣に住んでいた貴方は私にそう言った。
だから…私は貴方のお嫁さんになるために頑張った。背を伸ばす為にバレー部にも入ったし、おやつも我慢してダイエットした。お肌も毎日乳液でお手入れしたし、爪も磨いた。化粧だって完璧。
「君が高校を卒業する頃には必ず帰って来るよ。だから待っていて?」
小学校を卒業したその日、貴方は私にそう言って遠い遠い国に行ってしまった。
だけど、毎日メールもしたし、お互いに写メールも送りあったし週一回は電話もした。
だから全然寂しくなかったし、彼氏も作らなかった。
だけど……貴方は私を残して死んでしまった。
携帯に入っていた国際電話の貴方の番号と留守録は今でも取ってある。
「…愛してるよ也美!俺は先に天国に行くけど、何十年も待っている!恋をして、結婚して家庭を持って…沢山の孫やひ孫が出来るまで長生きして幸せに」
ダーンッという銃声が貴方の言葉を遮り、その数分後にものすごい音がし…メッセージが切れた。
彼は…私の幼なじみであり、初恋の人だった彼はテロに巻き込まれて死んでしまった。
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