素敵な頂き物&捧げ物

□麦と空 春と夏
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戦後数年…当時の僕は元軍医と言うこともあり、帝都の医療施設で働いていた。
医者の家系に生まれた者として、親仕込の施術で沢山の病人を診て来た。

この時僕はまだ16の歳であった。

両親と共に軍に軍医と共に配属されたのが12の歳。体の大きくしっかりした1つ上の兄はすぐに兵隊へと徴用され、体が小さく、生まれた頃より病弱であった僕は両親の手伝いという名目で連れて行かれた。

戦争が終わるまでの2年間。それは僕の人生の中でも最も時が長く感じられる時間であった。
両親とは1,2ヶ月で別れさせられ、正式な免許もない状態で軍人も民間人も治療させられた。
時には僕のせいで人が亡くなったと思われる事もあった…。
手の施しようもない人が助けを求めても…隣の助かりそうな人の治療をしなければいけない事もあった…。

それは戦時中も戦後も変わらない。
やがて、両親が遠い南の島で亡くなったという葉書きを持った兄が家に帰って来た。
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