素敵な頂き物&捧げ物

□カミナンド物語
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カミナンド物語


これは…俺の過去の話。




俺と妹のモナレダは中央大陸にあるガルド王国北部の寒村に生まれた。
やせ細った土地では作物も僅かしか育たず、何も食べられない日など珍しくなかった。
やがて父は過労と飢えで倒れ、そのまま亡くなってしまい…母は妹を連れてよその家の男と再婚した。
…俺はと言えば、村の監督に家畜1頭と交換で売られ…監督の家で家畜の世話番をさせられた。

(妹に会いたい…)

日々、そう思いながら…朝早くから家畜の世話をし、家畜と同じ残飯を与えられ…夜は凍えないように家畜小屋の隅で馬の餌のワラに潜って寝て過ごした。

そうやって2年ほど過ごしていると……村にある日、綺麗な服を着た男が2人やって来た。

「ご主人様…あの方々は?」

綺麗な服を着た男達から受け取ったお金の袋を覗き込んでいる監督に声を掛けると

「ん、あぁ。街の人だよ。といっても…売春宿の使いだろうがね。
ワシに金を渡して、村の女を買っていくのに目を瞑れという事だろうよ」

…この時、俺はすごく嫌な予感がして…仕事に戻るフリをしてコッソリと母親の再婚相手の家に向かった。

(…やっぱり……)

物陰から家の入り口を見張っていると、母親がニコニコしながら男達からお金を受け取り、モナレダを突き出していた。
そして、1人の男にモナレダは連れて行かれ、村の出口にある馬車の荷台に乗せられた。既に何人か乗っている荷台の上でモナレダは仲のいい子供と嬉しそうに何かを話している。
俺は男が離れるのを待ち、荷台に近付いた。
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