限りある時の中で

□限りある時の中で The later story
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第一話「私は、強く生きていく」




 飛行機を動かし、アルバスの発明棟を離れた私はガーランドに向かっていた。

「……アルバス…」

数時間前…私は最愛の人を亡くした。

「…強く、生きなきゃ」

私に生きる希望をくれた貴方のために…生きなきゃ。

「この子達と…生きなきゃ」

そっとお腹に手を当てるとほんのりと温かい気がした。
まだそこに命が宿っているかは分からない。
ううん…もしかしたら、あの最初で最後の行為で出来ていない可能性も…ある。

(どうか…お願い。アルバスと生きた証が宿っていて欲しい…)

祈るしかない。それで…もしもその希望が…なかったら。その時は……彼の元へ逝こう。

「この何処までも広がる砂漠を…ずっと貴方を思いながら歩くわ…」

殺人的な陽射し、全てが干上がり金色の砂しかない広大な砂漠。水も飲まず、休まず歩けばすぐに脱水症状になって死ねるだろう。

(脅すようだけど…どうか神様。アルバスとの子供を下さい。じゃなきゃ私、本当に生きていけないから)





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