白虹
□序章
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日本では知る人ぞ知る学園があった。
その名も、東洋学園。
財政界の名だたる名家子息にしか入学資格を与えられないという、幻の教育機関である。
噂では、東洋学園から入学パンフレットが届いた家は必ず栄えるとかなんとか。
そして入学を許された中でも、学園のトップたる生徒会長に選ばれた人間は、将来の財政界を支えると謳われる。
そんな学園では、悪しき風習があった。
思春期に全寮制という箱で同性と過ごすため、ホモやバイになってしまうのである。
また、限られた人間関係しか作れないので、自分より格下と思う人間に対する扱いは酷かった。
「いやっ、お願い!
やめて!!」
「黙れ!お前の外見がキモいから悪いんだ!」
場所は空き教室。
助けを求めながら床でのたうちまわる少年に、愛らしい顔つきの少年が怒鳴る。
栗色のサラサラとした髪に、大きな茶目。
まるでフランス人形のように可愛らしい少年の顔は今、歪んでいた。
「お前は汚い!ウザい!貧しい!
こんな奴が世の中にいるから、僕は正院様に相手にされないんだっ」
誰が考えても、それは八つ当たりにしか過ぎなかった。
それでもその可愛らしい少年は、自分を崇拝する男たちを使って彼を痛め続けた。
「いなくなれば良い!」
最後にそう叫んで、彼らはその教室を後にした。
残るはうずくまって震える少年ただ一人だ。
彼の頬まで垂れ下がったくせのある黒髪には、踏まれたせいで埃が大量に付いている。
「・・・・っ!」
身体中に走る痛みに耐えながら、ゆっくりと身体を起こす。
「もぅ・・いやだっ」
少年は掠れた声で叫び、教室を飛び出した。
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