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□何様俺様外科医様3
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「船長に大切にされてんだよナマエは」


『Σいやいやどこが!?毎日私が耐え難いセクハラをあの男から受けてるのシャチも知ってるでしょ!?』


「いやァ〜まあそれはそれであれは船長なりの愛情表現ナンダヨ…ウン」


『目泳いでるんだけど!しかも片言だし!それに愛情とか止めてよ気色悪い!鳥肌立ったじゃない!』


「お前酷いぞ」




ペンギンがボソッと小さくつっこんだ。




「でもまさか船長がこの船に女を乗せるなんて思ってもなかったよな〜どういう心境の変化か俺らもビックリしたよ。なァペンギン」


「あァ驚いて心臓止まった」


『え?何で?今まで女のクルーって過去に一人もいたことなかったの?』




ていうか心臓止まってたら現に今ここにいないからね、ペンギン。




「ナマエが初めてだよー」


『…へーそうなんだぁ』




隣にいたベポが嬉しそうにぎゅううう、と抱き着いてきた。あの変態のことだ、自分の周りに女をうじゃうじゃ従えてさぞ王様気分を味わってきたに違いない!と思っていただけに私がこの船の"初の女クルー"と聞いて、なんだかちょっぴり嬉しくなった。えへへ。




「だからナマエが来てから船が和やかになって野郎共の中に華が生まれた」


『やだもうペンギンったら…そんなこと真顔でさらっと言われると嬉しいっ!』




ほんのり紅く染めた頬を両手で押さえてペンギンを見ると優しく微笑んでくれるその顔と目が合って少しキュン、とした。"ロ"が付く誰かさんみたいに下心が無いペンギンスマイルはとても素敵だ。




「船長の機嫌もナマエのお陰で毎日絶好調だし俺らも助か…嬉しい限りだ!」


「ナマエが来てからキャプテンよく笑ってるよー」




いやそんな情報はどうでもいいわ。どいつもこいつもこの船の男達は二言目には船長だのキャプテンだのとどんだけあの男に心酔してんのよ。ホモか。




『とにかく!私は次の島が見つかったら今度こそあの男の目を盗んでどんな手を使ってでも絶対島に上陸してやるんだから!この二ヶ月間で溜まりに溜まったストレスを発散してやる!』


「うわっナマエ痛いよ」




突然意を決してエイエイオーと拳を天に掲げると同時にベポの顔にナマエの拳が勢いよく当たってしまう。




『いつまでも籠の中の鳥だと思ってたら大間違いよトラファルガー・ロー!』




そう叫んでどこかに向かって走っていくナマエの背中を甲板の一角からそっと静かに見守るシャチ、ペンギン、ベポ。そんな中、タイミングよく船員の「島が見えたぞー!」という掛声が遠くの方で聞こえた。




「ああ言いながらも船長の言い付けを毎日律儀に守ってあんな短いスカートを言われるがままに穿いてるナマエを俺は可愛いと思うんだ。うんうん」


「あァ同感だ。あの服もこの前船長がナマエに買ってきた手土産のワンピースだろ。何だかんだ嬉しくて素直にああやって着ている姿を見るとあの人がナマエを苛めたくなる気持ちも分からんでもない」


「ペンギン隠れドS!?」


「お前はドMだろうが」


「あ!キャプテン!」




ベポの声にビクリと振り返ると、寝起きのため超超超機嫌が悪い低血圧のロー船長が本日初めて甲板にやってきた。(現在既に夕刻)そんな不機嫌オーラバリバリの我らがキャプテンの姿を見たシャチとペンギンは、"ナマエを早く呼んでこい"と目と目で会話をする。
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