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□エロカワ
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『あー暑い暑い』




長い髪をヘアバサミで留め団扇でパタパタと下品にもスカートの中を仰きながら甲板を歩く。だって一応これでも海賊だもの。そんじょそこらの女とは違ってワイルドに生きなきゃね。こんなことも恥ずかしがってできないようじゃ海賊なんて務まらん。


…なんか違う。




「おいナマエちょうどいいところに…Σって!何だそのはしたねェ格好は!!」


『あ、キッドの頭。ねぇねぇどう?見てこの服可愛いでしょ〜?この前の島で奮発して買っちゃった!』




足音に気付いて後ろを振り返ったキッドが私の麗しきボディーをその髪と同じ赤い瞳にロックオンした途端唾を撒き散らして怒鳴ってきた。(汚ぇ…)そんなキッドに私は着ていたワンピースをフワッとさしてその場で可愛らしく一周回ってポーズをキメた。ていうかキッドの口から「はしたない」なんて言葉全っ然顔に似合ってない。むしろキッドのその顔の方がはした…ゴホン。




「ふざけんな!そんなチラチラチラチラチラチラと必要以上に肌を晒しやがって毎日あれほど言ってんだろうが!」




チラチラ多いって。




『自分だって上半身裸でコートにチャンピオンベルトともはや歩く露出狂じゃんむしろ変質者?』


「Σうるせェ!これは俺のポリシーだ!お前は女だろうが!肌色を見せんな肌色を!」


『うわー男女差別ー』




つか肌色て。




「また言ってんのかキッド」


『あ、キラー!もう毎日毎日ホントしつこいんだけどこの人〜。キラーからも何とか言ってやってよ』




私の手から団扇を奪って顔…というか仮面を仰いでるキラー。そんなに暑かったらその仮面外したらいいのに。私達以上に蒸れて暑いだろうに。南無阿弥陀仏。




「おいナマエ!テメェ船長に向かって指差してこの人とはどういうことだ!」


『だってそうでしょ?キッドは私の保護者か何か?それともただの彼氏ヅラ?』


「Σなっ…テテテメェ!」


「まあ落ち着けキッド。ナマエにもオシャレぐらい好きなように自由にさしてやれ」


『キラー…!』




キラーはいつも私の味方をしてくれて優しい。とても世間から"殺戮武人"と言われてるなんて思えない。顔(仮面)はまぁたまに夜見ると13日の金曜日に現れるジェーソンと見間違えてビビることもあるが…。キラーだったら普通にチェーンソー持っててもおかしくないし。←




「俺は別にこいつにオシャレすんなとは言ってねェ!そんなチャ…チャラついた服はやめてもっと海賊らしい格好をしろと言ってんだ!」




何自分で言って照れてんのこの人。




『海賊らしい格好って何よ!キッドみたいに上半身裸でコート羽織ってチャンピオンベルト付けてキラーみたいにおめ…仮面を付けろと!?』


「ナマエテメェ俺の格好をバカにしてんのか…!!」


「(今、確実に"お面"と言おうとしたな…)」


『私は"エロカワファッション"が好きなの!』


「エ、エロカワだァ!?ふ、ふざけんな…!!」




いや決してふざけてエロカワファッションをしているわけではない




私の胸元と太股をチラチラと目を泳がしながら見てきて一人興奮してプリプリしてるキッド。全くめんどくさいというかなんというか…。




「まあ落ち着けキッド。ナマエはこの船の紅一点だ。むさ苦しい野郎共の中にこうして華がいてくれて実際この船の船員達も癒されてるだろう」


『キラー…!』




何度も言うがキラーはキッドよりも精神的に大人で優しい。




「それにナマエが毎日肌を隠し男臭い海賊ルックでいたら船員達の士気にも関わってくるだろう」




何の士気だ。




「エロカワは正義だ」


「Σ何のだよ!!」


『そういうこと!私はこの船の女神オアシスなの(ハァト)』






















『大体キッドは見た目のその極悪面からして中身がピュア過ぎるのよ!世間では残虐と恐れられてる懸賞金3億越えの海賊が女の服装一つでネチネチと恥ずかしくないの!?もっとキラーを見習って毎日違う女をとっかえひっかえ船に連れ込むぐらいしなさいよ!』


「……………」


「て…てめぇぇ…!」




ピタリと仰いでた団扇の動きを止めるキラーとピクピクと髪と同じ赤をした顔を引きつらせワナワナと震えるキッド。震度1といったとこか。




『ま、でもそんなキッドが私は大好きだけどね!』


「!、なっ…」


『この厚い胸板…割れた腹筋…男らしくて素敵!』


「お、おい…!急に何しやがるナマエ…離れろテメェ…!」




キッドに見えるようにわざと胸元がガッツリ開いたエロカワワンピースから胸の谷間を広く固い胸板に押し付けるようにきつく抱き着く。漫画だとムニュという効果音が書かれそうだ。




「チッ…ナマエいい加減離れねェと…ッ…」


『ダーメ。リペっちゃやだもうキッドの意地悪ぅ』




左手をぎこちなくプルプル震わせ、か弱い乙女に「反発(リペル)」を使おうとしやがるキッドを捨てられた仔犬のような瞳で見つめ人差し指で目の前の胸板に「の」の字を書くと"うっ…"という声が聞こえてピクンと体が反応した。ああもうとても可愛くてたまらん。




『これからもキッドの頭に一生ついてっちゃうvV』




見事に全身真っ赤に沸騰しきってタジタジのキッドとそんな彼を手の平で転がし嬉しそうに笑うナマエにやれやれと小さく笑みを零し「今日も平和だ」と団扇で仮面を仰ぎながらその場を去るキラーであった。




END


ユースタス・キャプテンキッドがピュア!…だったらそのギャップで萌える(^q^)


2011.09.23 来実

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