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□何様俺様外科医様
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ボフンッ
『おはようベポーvV』
「わあ…ビックリしたぁ〜!ナマエおはよう。よく眠れた?」
『んー、まあボチボチ…』


朝一、私の唯一の安らぎと癒しであるベポを見つけて真っ正面からダイビングジャンプで抱き着く。(ああ…フカフカ柔らかくてモフモフ気持ちいい)


「どうしたの?怖い夢でも見たの?」


心配そうに私の顔を伺いモコモコあったかい腕で優しく包んでくれる。(ああ…愛しす)

夢…
そう、全部夢ならいいのに。


『あーんベポぉぉぉ…』


真っ白なベポの大きな体に顔をうずめる。


「ヨシヨシ、もう怖くないよ」
『グズン…(違う)』


この船、ハート海賊団の一員になって、早一週間。(Σ短ッ!)私、罪無きか弱いレディナマエは毎日来る日も耐え難い仕打ちを食らい精神的苦痛を日々受けている。正直…いや、全力でこの船に乗ってしまったことを心の底から後悔している。それもこれも全ては“アイツ”のせい!!!


「随分と目覚めが早いじゃねェかナマエ」
『ヒィッ…!』

でた。

「アイツ」こと、このハート海賊団の船長にして(死の)外科医の《トラファルガー・ロー》懸賞金2億ベリーの悪魔の実の能力者で決して侮れない男だ。


「キャプテンおはよう。今日は早いね」
『………』


警戒心剥き出しの目でキッ、とその男の顔を睨み、ベポに抱き着く力を更に強める。


「…ベポ、下がれ」
「アイアイキャプテン!じゃあまた後でねナマエ」
『ああっ…待ってぇ、私のオアシスぅぅぅ…!』


この船の長であるトラファルガー・ローにはいつどこでナニがあっても絶対服従のクマのベポさん。

森のクマさんみたいに言うな


「ナマエ」
『!……』


ああもう無理。その声を聞くだけで全身に鳥肌が立つ。体が完全にこの人を生理的拒絶しているのが自分でも分かる。

目の前にいる見るからに不健康そうで柄の悪いこの男トラファルガー・ローはベポの可愛さとハートというキュートネーミングをダシにし尚且つ“秘書”という素敵で魅力的でイケてる肩書きとポジションをくれると私を巧みに騙し海賊船に乗せたそりゃあもう恐ろしい男だ。…まあ上手いことホイホイと丸め込まれた私も私だが。結局“秘書”というのも名ばかりで実際は船長専属の世話係という要は機嫌取りだ。泣きたい。


「俺より先にベポに挨拶とはどういうことだ」


別によくね?


「毎朝一番に俺に挨拶しろとあれほど言ってるだろ」


私が朝の挨拶「おはよう」を誰からどの順番で言おうが個人の勝手じゃないだろうか。今日はそこにベポがいたから、ただそれだけのこと。それにいつもあんた起きてくるの一体何時だと思ってんの。まずその不規則な生活リズムを直してから人に物を言ってほしい。


「船長の俺の言うことが聞けねェのか」
『(ツーン)』←そっぽ向く
「飾りだけの耳は斬り落とすまでだ」
『ひぃっ…』
「ほら、言うことがあんだろ。今ならまだその耳甘噛みで許してやる」
『わ、分かったから刀から手離して…!』


なんておっかない危ない奴…本当物騒で恐ろしい男だ。


「言うことは?」
『あーもう毎朝グチグチうるさいなぁ…ゴホン。おはようございますトラファルガー・ローせんちょー(今日も噛まずに言えたわ)』
「てめェ犯されてェのか心の声丸聞こえなんだよ」
『弁護士を呼んで下さい』


…そう、私が毎日一番苦痛で苦痛で我慢がならないのはこの船長直々のセクシャルハラスメント下ネタ炸裂のEveryday。


「まあいい…で、今日のパンツは何色だ?どんなやつ穿いてるか見せてみろ」
『うんと今日はね…って!何当たり前のようにナチュラルにさらっと聞いてんのよ!』
「簡単だろ。スカート巻くって見せりゃいいんだ。何も難しいことは言ってねェ」
『そういう問題じゃない!』
「いいからとっとと見せやがれ」
『誰が見せるか!!この変態ヤブ医者!!』


お医者さんとお坊さんは変態だと昔からよく聞いてきたけど(オイ)実際本当そうだと実感する。←


「じゃあ一発ヤらせろ」
『はぁ!?ヤら…って、ちょ、あんたバカァア!?』
「あ?」
『じゃあって何よじゃあって!余計イヤよ!ほんっと朝っぱらから毎日毎日頭おかしいんじゃないの!?』


本当そう思う。頭の線一本切れてるんじゃないかと。


「なんだ?文句あんのかこの俺に」
『大ありありよ!』
「いいだろたかが一回くらいでギャーギャーと」
『だからそういう問題じゃない!』
「そうケチケチすんなみっともない」
『みっともないのはどっちよ!』
「フッ…照れやがって」
『誰が!?』
「これが今流行りのツンデレというやつか」
『いやなんで若干顔赤くなってんの!?あんたバカでしょ!正真正銘のバカでしょ!(キモイを通り越してなんかもう怖い)』
「気が強い女は嫌いじゃねェ」
『近寄らないで汚らわしい!』
「…あ?」
『この際はっきり言わせてもらうけどね!あんたは私を簡単に手玉にできる女だと思ってまんまと騙して船に乗せたんでしょうけど!私のことそんな安くて軽い女だと思わないで!』
「…ほう。お高い女だって言いてェのか」


ニヤリ、と不気味に笑みを浮かべ私の目をじっと見据えてくる。本当何考えてるのか全く理解できない。


『そうよ!私は自分が心から本当に好きになった人としかそういうことはしないしできないしイヤよ絶対!!イヤよイヤ!!ぜぇ〜ったいイヤッ!!』


言ってやった…!ど、どうしよう冗談抜きで殺されるかも私…ううんでもこれが私の本心よ。我が生涯に一片の悔いなし!


「…ナマエ」
『な、なによ…(ビクッ)』
「じゃあ簡単だ」
『え、』
「お前が俺を好きになればいいだけの話だ」
『ひゃあっ』


耳元に顔を寄せそう静かに息を吐きかけるように囁くと、ゾロリと舌で耳たぶを舐め甘噛みされる。


『な、なななにすんのよ変態!』
「フッ…真っ赤だぞ、顔」
『!!』
「こりゃ時間の問題だな。ククッ」
『だ、誰があんたみたいな変態…!!』
「せいぜいほざいてろ」
『…な、なんなのよ、』


この無駄に自信満々の何様俺様男――。

この船に乗ってまだ一週間。先が思いやられます。


END
(キャプテンとナマエ仲良しうらやましいなぁ。さっきから楽しそうになんの話してるんだろう)


2011.09.11 来美


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