長編※夢物語
□【第四話】幕末も今も・・・
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「お主はいったい・・・」
私にもわからない・・
でも、ひとつだけ・・ひとつだけ言えることが・・
あなたが斬ってしまった巴さんと同じ場所に、
私には生まれたときから、刀傷のようなあざがあるの・・
「だから・・巴の生まれかわりではないのかと・・いうのでござるな・・」
「わからない・・本当にわからないの・・・
でも、私・・・あなたのその瞳を、十字の傷を知っている・・・」
そう言って詩織はまた涙を零した
「ごめんなさい・・巴さんに、あなたを守ってって・・
でも、私・・どうしていいか・・・」
「もういい・・もういいでござるよ・・」
剣心は、必死に涙をこらえている詩織を
傷に障らぬように、自分の胸に抱き寄せた
夜毎夢に悩み、傷つき、一人見知らぬところでどんなに不安だったでござろうか・・
「つらかったでござるな・・」
途端、詩織は今までこらえていたものが、剣心のその一言で溢れ出す・・
剣心は、まわした腕にそっと力をこめた
*
「落ち着いたでござるか・・」
「取り乱してしまってごめんなさい・・でも、緋村さんの腕の中はやっぱり安心できるみたい・・・」
夢でも今も・・と詩織は恥ずかしそうに剣心をみあげた
白梅の香りが二人を包む・・
「詩織殿・・・」
「詩織殿が、仮に巴の生まれかわりだとしても、そうでなかったにしても・・・
拙者は今ここにいる詩織殿が、いちばん大切でござるよ・・」
「・・緋村さん・・」
「・・剣心でいい・・」
「もし、詩織殿さえ嫌でなければ・・
拙者の仲間のいる処へ、いや、拙者と共にいてはくれまいか・・」
詩織はおどろいた・・