長編※夢物語

□【第四話】幕末も今も・・・
3ページ/4ページ

 

「お主はいったい・・・」


私にもわからない・・
でも、ひとつだけ・・ひとつだけ言えることが・・
あなたが斬ってしまった巴さんと同じ場所に、
私には生まれたときから、刀傷のようなあざがあるの・・



「だから・・巴の生まれかわりではないのかと・・いうのでござるな・・」


「わからない・・本当にわからないの・・・
でも、私・・・あなたのその瞳を、十字の傷を知っている・・・」


そう言って詩織はまた涙を零した


「ごめんなさい・・巴さんに、あなたを守ってって・・
でも、私・・どうしていいか・・・」


「もういい・・もういいでござるよ・・」



剣心は、必死に涙をこらえている詩織を
傷に障らぬように、自分の胸に抱き寄せた


夜毎夢に悩み、傷つき、一人見知らぬところでどんなに不安だったでござろうか・・


「つらかったでござるな・・」



途端、詩織は今までこらえていたものが、剣心のその一言で溢れ出す・・


剣心は、まわした腕にそっと力をこめた






            *









「落ち着いたでござるか・・」


「取り乱してしまってごめんなさい・・でも、緋村さんの腕の中はやっぱり安心できるみたい・・・」


夢でも今も・・と詩織は恥ずかしそうに剣心をみあげた

白梅の香りが二人を包む・・



「詩織殿・・・」



「詩織殿が、仮に巴の生まれかわりだとしても、そうでなかったにしても・・・
拙者は今ここにいる詩織殿が、いちばん大切でござるよ・・」


「・・緋村さん・・」



「・・剣心でいい・・」



「もし、詩織殿さえ嫌でなければ・・
拙者の仲間のいる処へ、いや、拙者と共にいてはくれまいか・・」


詩織はおどろいた・・
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ