『時空神子シリーズ』―華乱

□想いは…花弁へ、空へ、君の心へ。
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素っ気ない顔をしながらも彼は優しく説明してくれた。
楠野帝の家宝『璃音の輝石』が、黄泉の国の王にとってどれだけ大切か思い知らされた気がした。改めて、自分が無知過ぎる事を知らされた。
父親が毎回の如く言っていた科白は、知性の部分を表していたのだろう。


「ま、基礎は厳しく叩き込まれるだろうけどね。お互い、自分の国を統一出来る様に…今以上の努力をしようよ」


両腕を上へ伸ばし、立ち上がった盈華は部屋の中を歩く。
励ましているとかじゃなく、自分にも言い聞かせているのだ。自身を受け止められた事は今後の原動力になる。
それを生かすか、駄目にするかは己次第だと理解もしている。

だけど一つだけ、今だに恐れている。


止めどなく押し寄せる波が、苦痛で仕方ない。
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