『時空神子シリーズ』―華乱
□想いは…花弁へ、空へ、君の心へ。
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――黄泉の国・楠野邸・試練の間
「良かったね、出られて…」
嘆息な言葉を吐く盈華は、隣に座る神艸を見やる。
試練から抜け出せたとはいえ、部屋を開けられる璃羅が居ないので。今日はこのまま一晩過ごす。
「それは…貴方が居たからです。盈華が居なかったら…今頃、私は自分に向き合っていません。璃音の輝石も…」
右手を開くと、きらりと輝く宝石。
神艸が自分と向き合う事が出来、胸に埋まっていた璃音の輝石は外れた。
「大切にしなよ」
「えっ」
「『璃音の輝石』。楠野帝の先祖代々から受け継がれる黄泉の国の王としての証。石に宿る力は強靭と伝えられてる……貴方は、次期…黄泉の王として認められたんだよ!だから、胸張って良いと思うよ…」